商店街に地域が交流する『下町らしい風物詩』を新たに創ろう。
- 家崎 美明(大正筋商店街)
昨年4月から大正筋商店街に派遣され、研修事業や会議運営などのサポートをする中で、商店街が抱える課題を見つめて来た。
阪神・淡路大震災から復興する過程で、大きく姿を変えた大正筋商店街。震災から22年が経ち、苦難を乗り越えてきた商業者たちは現在、高齢化や後継者不足に面している。集客力低下や空き店舗問題もかなり深刻だ。これらの課題を解決するため必要なことはと考えた結果、まずは「賑わいづくりから」という結論に至った。
まず、大正筋に人を呼び戻すために、一過性のイベントではなく、地域が交流する『下町らしい風物詩』を新たに創ろうと考えた。「子どもからお年寄りまで楽しめ、愛される『祭り』ならばまちの文化として受け継がれ育つ。大正筋商店街がその役割を担えば」と。
その時、家崎さんにヒントをくれたのが東京在住の友人。ある商店街で毎夏に開催されている「七夕まつり」を教えてくれた。手作りの「はりぼて」や「吹き流し」を商店街じゅういっぱいに飾り、商店街を中心に地域団体や学校などまちぐるみで開催されている有名な祭りだ。家崎さんは早速、大正筋商店街にこの祭りのアイデアを提案し、理事会や大正筋サポーター会議とつぎつぎ賛同を得ることができた。東京の「祭り」の商店街関係者にも交渉し、協力の了承を得た。
大正筋商店街のアーケードの天井から、大きな飾りを吊したらさぞや壮観であろう。大正筋商店街の新しいことを受け入れるふところの深さや、この地域の団体や学校の協力的な体制は、震災後途切れることなく続き、今回の「祭り」の開催計画の大きな後押しとなった。祭りは今夏、第一回目の開催を予定している。
家崎さんは「各店の売上は維持しつつ、最初は無理ない規模で始めたい。地域が共感する仕掛けが大切。新しい賑わいが生まれれば、いろいろな問題も前向きに動き出していくはず。大正筋商店街はこれからが勝負」と力を込める。
大正筋商店街の今井嘉昭理事長は「家崎さんは、私達商業者が苦手とする情報やアイデアを提供してくれる。相談しやすい人で、すぐ行動してくれるのでありがたい。第三者だからこそ客観的かつプラス思考でアドバイスしてくれる。家崎さんと一緒に新たな大正筋商店街をつくりたいと思うので、神戸市の『地域商業活性化支援事業(3年計画型)』に応募して長期的に考えたい」と明るい未来を見据えている。
※家崎さんが支援している他の商店街
・春日野道商店街3番街
・有馬商店会
・垂水商店街
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※わがまちふるさと大正筋サポーター会議
平成18年から大正筋商店街と地域の小中学校やPTA、自治会、婦人会、区、新長田まちづくり(株)などが定例で会議をし、地域の問題や催事の協力体制をバックアップしている。