活動内容詳細
NO.30(2021.9月)
  • マンション完成前にやっておきたいトラブル予防策

  • 小田 紗織(大日六商店会)

 

商店街内の空き地にマンションが建設されるケースが全国で増えている。いつの間にか建設工事が始まってしまい、予期せぬ問題が次々と発生して商店主たちを悩ませている。

弁護士の小田紗織さんが、大日六商店会(中央区)のトラブル解決のため支援に入っている。

 

 

 

 

 

■マンション完成前にやっておきたいトラブル予防策

①合意事項を決めておく

工事が始まる前に、商店街側がマンションのオーナーと工事業者それぞれと話し合いの場を持ち、合意事項を書面化した「覚書」を交わすことが重要。マンション完成後の交渉は難しく、法的に強制することもできないからだ。

 

覚書の内容例(一部)

▶工事業者

→重機の出入りと工事時間は店舗の営業時間外とすること(臨時の工事は要相談)

→騒音を最小限にすること

→店休日が多い曜日に工事をすること

 

▶マンションオーナー

→商店街の運営に協力すること

→アーケードに面しているマンションは、オーナーが商店街賦課金やアーケード維持管理費を負担すること

 

小田さんが商店街会員に覚書に入れたい項目をヒアリングして精査した上で、覚書と違反金請求書の作成サポートと交渉方法の助言を行った。

 

②違反する業者には違約金を請求する

いざ工事が始まると、工事車両が約束の時間を守らない時がある。覚書に違反金請求の旨を記載しておけば、正々堂々と請求することができる。書面を作るだけでなく、最初に実行力を示すことで商店街の安全を維持できる。

 

※大日六商店会は違反業者に請求書を提出。違約金を支払った業者はその後ルールを厳守してくれている。

 

商店街内に建設された大阪の商店街の事例→マンション入り口を奥にしたため、雨が商店街に降りこんでしまう。

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商店街の会則の整理とルールの周知

法律のプロである小田さんは商店街(会)の会則やルールの改訂の支援も得意としている。

 

①会費未払い店舗に会費を請求

商店街が組織運営とアーケード等の共用施設を維持管理していくには、会費未払い店舗から確実に徴収しないといけない。会則を見直し、請求金額のうち会費と経費を明確に分けることで、請求理由を説明しやすくなり、すべての店舗が納得して会費を納めてくれる可能性が高まる。

 

ルールの再周知

多くの商店街では車両の通行は基本的には禁止されており、可能な時間帯でも速度厳守というルールがある。それを知らないマンションの新住民や非会員店舗経営者には再周知して厳守を促すことが必要だ。

 

会則や覚書作成の課題

覚書や会則を作成する際、何を入れ込むのか決定するのに予想以上の時間がかかる。また、近所付き合いのある店舗やマンションにルール厳守のお願いをするのは気が進まずやりにくいものである。

だからこそ、弁護士の小田さんに法律の見地から助言を受けることで、問題解決を早めることができ、大きな成果を得ることができる。