商業者の人たちの笑顔のために ~震災復興から新しい時代へ
- 五十嵐 聡(新長田1番街商店街)
■電波を活用したまちづくり
兵庫県民に愛されているFMラジオ局『Kiss-FM(キッスエフエム)』。五十嵐さんは1990年の開設時に入社して以来15年間に亘り、ラジオ局社員としてハーバーランドの活性化や稲荷市場(兵庫区)のまちづくり等に携わり、震災前から復興を経て現在まで神戸市内のさまざまな地域のイベント開催で活躍してきた。
ラジオ局名を公募した際、『FM KISS(エフエムキッス)』と一旦内定したが「音符に乗りにくい」という理由で五十嵐さんが現在の名称を提案。五十嵐さんの機転によって、FMラジオらしい洗練された名前のラジオ局が神戸に誕生した。
ラジオ局を退社して以降、五十嵐さんは主に新長田駅南地区の市場・商店街をサポートしている。その中から、応援隊員として現在担当している新長田1番街商店街の活動をお伝えする。
■新長田1番街商店街の現状と課題
高齢化による役員の引退
役員の世代交代が進んでいる。若手商業者が「1番街盛り上げ隊」を結成。新しい取り組みの企画する場として意見交換が活発に行われている。
空き店舗と商店会会員脱退の増加
人口が増加している新長田地区では、マンションや病院等の建設が相次ぎ、利便性が増している一方、店舗物件の家賃が高騰。空き店舗に入店する多くはチェーン店で、地元色が失われつつある。コロナ禍で店舗の経営状態が厳しくなる中、商店会の脱会を検討する店舗が出て来ている。
■アナログ・デジタル媒体を駆使した支援
①理事会や企画会議に同席して会議スキル向上のための助言
②「新長田1番街通信」発行のサポート
イベント内容や理事会の取り組みを紙媒体で発信。再開発ビルとアーケードのある同商店街では会費の多くがそれら施設の維持管理費に使用される。定期的に会費用途を周知して会員店舗の満足度維持に繋げる。
③SNSを活用した商店街の情報発信やイベント実施力の向上をサポート
地域色の強い個店誘致を目的として取り組んでいる。
④各個店の魅力発信をサポート
また近々、地元住民の多くが視聴しているJCOM(ケーブルテレビ)で特別番組(MC:ターザン山下氏)を提供し、同商店街の店舗紹介やハロウィンのイベント等の放送が予定されている。(放送日11月27日(土)午後10時(29分番組))
「新長田のまちは、震災後に建った『再開発ビル』と『昭和の風情を残す市場・商店街』がミックスされた街。だから面白い。現在の新長田には大きなビジネスチャンスがある」と五十嵐さんは街の未来をポジティブにとらえる。
震災前からの建物や施設の老朽化が課題となっている六間道エリアのアーケード解体撤去工事のサポートにも携わっている。
地元の人たちがつくる新たなまちづくりの環境を整えるため、五十嵐さんは商業者との会話を大切にして、日々、まちの再生に取り組んでいる。