■東日本大震災 「被災商業地レポート」(NO.2)

宮古あきんど復興市
 東日本大震災に起因する大津波から3カ月を迎える2011年6月11日から2日間、岩手県宮古市の中心市街地商店街で「宮古あきんど復興市」が開催された。津波による浸水被害を被った商店街による主催イベントとして、三陸沿岸部の商店街に先駆けての実施だ。
 初日の午前は急な降雨のため一部スケジュールの変更を余儀なくされたが、天候が持ち直した午後以降にお客が殺到。大いに賑わった。
 当初、商店街のすべてが復興したわけではなく、また「復興市」という名称の使用についても議論が繰り返されてきた。こんな時期にイベントをするべきではないという声もあった。幾度となく開催された実行委員会において、「復興宣言」ではなく「復興へのキックオフ宣言」と前向きにとらえることで一致した。
 復興市では商店街の再開を待ち望んでいたお客が多く、「商店街で商品を買う喜び」を満喫していた。アンケート結果でも、すべてではないがほとんどのお客が高い満足度を示していた。
 数ある手作り企画で、炊き出しを廃止し、敢えて飲食屋台としてチャリティ販売したことが挙げられる。震災から3カ月を経た今の被災商業地で最も頭を悩ませる問題。それは「余剰支援物資」である。
 発災直後で流通がマヒし、商店の再開が見通せない状態においては支援物資は何よりもありがたく心強いもの。震災から3カ月を経て、流通機能は回復し、店舗も再開を始めた今、避難所を中心に支援物資が大量に余っている。
 本来は家を無くして避難所生活を余儀なくされた罹災者のみに行きわたるものだが、全く被災していない一般家庭にまで支援物資が様々なルートを通じて届けられる。仮設住宅では必要最低限の品に加え、目覚まし時計や電気ポットまで整備されている。
 米、文具、家電、靴、衣類等、生鮮食料品以外の物資が避難所以外にも溢れだし、商店街を真綿で締め付けるがごとくじわじわとダメージを与えている。
 善意の支援物資は本当にありがたく、大切に扱わねばならない。ただ、その支援物資を被災地の商店街、商店を介して購入するシステムの構築が望まれる。ただし、行政職員をはじめ公的機関は多忙を極めており、小売の流通まで手が回らないのが実情だ。被災商店街での購買を仲介するNPO等の中間支援組織が誕生すれば、実に心強いのだが。
 先日の一般新聞記事にて、余剰支援物資を被災地以外の商店街等でバザー販売し、その収益金を被災地に寄付する試みが紹介されていた。これも一つの被災商店街支援のあり方だろう。
 余剰支援物資問題は、被災商店街自らは積極的に声を上げにくいものである。ただ、我慢を強いられている。余剰支援物資だけでなく、商店街そのものの復興は、住宅整備や水産業再興と比較して優先順位が低いように感じられる。同じ被災地である神戸の、そして全国の商店街が、今こそ被災商店街を積極的に支援する時ではないだろうか。(東 朋治)
(2011.7月発行)