■市長選で神戸について考えました  (NO.75)

三宮の再開発(朝日新聞デジタルより)
 試合が始まればピッチに立つ選手に任せるしかないサッカーとは違って、野球では監督の采配が試合の行方を決めることが珍しくありません。新人の藤浪クンを初戦に持っていったのは和田流の読みがあったのでしょうが、「あそこは能美かメッセンジャーでしょ」と考えるのは素人なのでしょうか。シーズン中と同じ戦いをして二人で二連敗なら、エース二人で負けたからしょうがないか、と思えますが、藤浪クンで負けたことには悔いと疑問が残ります。勝負事ですから勝ってたらさすが和田さん!!となりますが、和田さんには奇策は似合いません。それにしても短期決戦に弱い。9月以降の失速そのままに、借りてきた猫ならぬ、借りてきた虎になってましたね。
 ところで神戸市長選です。この号が出る時には結果が分かっているのですが、最近の選挙の常で、投票率が低い事に思いが行きます。選挙民が、特に若い人たちが投票に出かけるためには何が必要なのでしょうか。
 選挙戦の争点の一つに三宮地区の再開発が挙げられていますが、私の想いを述べてみます。
 JRが京都・大阪に続く三ノ宮駅の再開発を予定していますし、阪急も神戸阪急ビルの東館の建て替えを計画しています。そのチャンスを活かして神戸の玄関口である三宮周辺の大規模整備をしようというわけです。確かに、神戸の中心市街地である三宮・元町エリアは近年落ち込みが進んでいます。さらに、大阪・梅田の再開発と再整備により阪神間での大型商業施設間の競争はますます激しくなってきています(コラムNo.60を参照)。今や、どの商業施設が勝ち残るのかが都市そのものの盛衰を決める時代になっている、と言っても過言ではありません。そんな都市間競争の時代に神戸も遅れをとっては大変だー、というのが再開発推進派の言い分なのです。
 この論理には概ね賛成できます。できれば買い物客の流出も人口の流出も食い止めたいものです。
 神戸は人口150万人の都市です。70年代80年代には大規模な住宅地開発で人口が増加し、街は活気にあふれていました。しかし現状を見てみると「都市経営」という言葉を定着させた昔の栄光は今何処、という有様です。この間の阪神淡路大震災による被災・復興という大きな過程があるにしても神戸にはもっと輝いて欲しいのです。だからこそ、新しい都市像が求められているわけで、どんな都心整備をおこなうのかが問われていると私は思うのです。
 大阪と同じような、店はたくさんあるけど、上下移動ばかりのセカセカした落ち着きのない街ではなく、のんびりと歩いてゆったりと時間を過ごせるのが神戸だったはず。神戸には高層ビルは要りません。低層低容積で海と空と山が楽しめる回遊性と景観のある街。JRにも阪急にもそれを分かって欲しいものです。もちろん、新しい市長にも。
 この事を一つの媒体として神戸を元気にし、経済・商業の活性化をお願いしたいものです。
 市長は監督です。市長の采配によって勝負が決まります。奇策も時には必要でしょうが、現有勢力の見極めと底上げが不可欠です。FAでの主力獲得ではなく、生え抜きを鍛え上げる努力こそが第一ではないでしょうか。
 新しい市長さんには、三宮だけでなく市域全体が元気になるような施策をお願いしたいものです。
(2013.11月発行)