■東北支援を考える その2  (NO.57)

気仙沼さかなの駅での店舗診断
 前回の続きです。
 3、商店街ができる復興支援には、個人の話と組織の話がありますが、個人では多くの商店主が積極的に支援をされていますので、ここでは組織の話を考えましょう。商店街が組織として復興支援をするのにはどんな事が可能でしょうか。まず義援金を集めるというのがありますね。継続的に売上げの一部を義援金とするとか、お店の前に募金箱を置いてお客さんから集めたり。お金は一番分かりやすくて、簡単に実施もできますが、前回も書きましたが、集めて送ったお金がどこでどのように使われているか分からないのが、私なんかは不満です。
 次は、お金ではなくてモノを売って支援する方法があります。つまり、東北物産を売ることです。ただし、業種によっては扱えないお店もあるので、商店街全体のイベントとして実施するわけです。被災した漁港や会社などから仕入れることができれば一番いいですが、少なくとも被災した地域のモノを売ることが肝腎です。
 そのためには、現地の状況をよく分かっておく必要があります。個人的に支援を続けている商店主は、被災地の商店主との関係やネットワークがあったので動けているのです。あるいは震災後に関係を自ら作ったのです。特に商店街同士のネットワークは大事です。仮設の商店街が各被災地で営業を始めていますので、今からこのネットワークが作れます。そのネットワークを通じて東北物産を調達するのです。そして、その売上げの一部をまた義援金とすると二重の支援になりますし、ネットワーク先の商店街に直接渡せば、「顔の見える支援」ができることになります。
 震災から1年が経って、こちらでは震災の情報すらあまり入らなくなっています。今から継続的に東北支援イベンをすることは、「東北を忘れない」というメッセージもなるのです。

サメの心臓。こんな食材も売られています。
 ところで、空店舗が増えて商店街自体が苦しいのに東北支援どころではない、という商店街も多いでしょう。でも、空店舗を活用した支援の方法もあるのです。言い換えると、空店舗があるからこそできる支援もあるのです。それは、すでに実践している商店街もありますが、東北物産を扱うお店をアンテナショップやチャレンジショップの形でオープンすることです。組合が運営してもいいし、お店をやりたい人を募集するのもいいでしょう。その際には、被災地から避難してきてまだ職を見つけられてない人にやってもらうのです。商売をやったことのない人だったら、そのノウハウをみんなで教えるのです。東北物産も売ることができるし、雇用も創り出すことができるいい方法だとは思いませんか。
 空店舗全て、とは言わなくても複数の空店舗をこんな形で埋めることができれば、それだけで話題になるし、商店街の活性化にも大いに役立つはずです。
 また、前回書いたように現地でお金を使うことも大いなる復興支援ですから、被災地の仮設商店街を巡る「被災地ツアー」を商店街が企画するなんていう方法もあります。いずれにしても、多くの商店街が被災地商店街との関係を結んでネットワークを作ること、これが今からできる商店街の復興支援の要ではないでしょうか。
 どの被災地やどこの商店街と関係を持ったらいいのか分からない、という人はぜひ私に相談してください。そのために、何度も被災地を訪れています。これが専門家としての私の復興支援のひとつなのです。
(2012.5月発行)