■被災地商業のこれから  (NO.50)
 8月22日に石巻市は「都市基盤復興基本計画図(案)」を公表しました。これは、4月末に出された「復興計画ゾーニング」(7月号の記事を見てください)をより詳細な復興計画にしたものです。防災では、港の先に防潮堤を整備し(第一の防御)、まちなかでは幹線道路を盛土によって高くする(第二の防御)、旧北上川の両川岸に3.5mから7mの堤防を作るなどの計画が盛られています。

石巻復興計画図案


石巻商店街地図
 商店街をみると、「再開発もしくは区画整理」を実施するエリアと、中心市街地活性化法の基本計画(平成22年3月に認定)に基づいて「再開発推進エリア」に分けられています。石巻の中心市街地には8つの商店街がありますが、法人格をもっているのがアイトピア商店街振興組合と立町大通り商店街振興組合の二つで、「再開発もしくは区画整理エリア」ではアイトピア商店街、「再開発推進エリア」では立町大通り商店街とことぶき町商店街がメインとなっています。
 8月23日から25日まで石巻へ行って(5度目の訪問です)、まちづくり会社まんぼうの西條さんや地元商業者とお会いしてきましたが、いずれの商店街も今回の津波で甚大な被害を受けていて、いち早く再開したお店もありますが、再開はまだ2割にも満たない状態で、写真のように再開の目処すら立ってないお店もたくさんあるように見受けられました。もう1枚の写真は4月17日に再開した立町大通り商店街の笹かまぼこ屋さんですが、この時点ではここ1軒だけだったので、長蛇の列が毎日できていました。(ほんとにおいしい笹かまぼこです。特に「揚げかま」が絶品です。)

こんなお店が並んでます

4月17日に再開した笹かまぼこ店

 アイトピア商店街では今回の計画を受けて、商業者らの意見をまとめている段階らしいのですが、旧北上川の堤防の高さが3.5mになるのか、5mになるのか、7mになるのかで付け替えする橋の高さが変わってくるので、その橋の裾に位置するアイトピア商店街はどんな絵を描けばいいのかに苦慮しているとのことです。

もうひとつの笹かまぼこ店
 ことぶき町商店街では、青山学院大学の学生達の協力で、石畳の通りを掘り起こして修復する作業をしていました。業者に頼めば億がかかる工事を大学との連携で数千万円で済むということでしたが、これからの方向については、再開発の話に乗るとかどうかなんていうことより、少しでも早くこの場所で再開に向けて動いていきたい、とのお話でした。どの商業者もそう考えているかどうかは不明ですが、商店街内と商店街間での意思の統一にはまだまだ時間がかかりそうです。
 単なる被災地商店街の復旧・復興ではなくて、地方都市の中心市街地商店街の新しい姿を示して欲しい、と思うのはあまりに現状を知らない人間の言うことだ、と叱られそうですが、この「単なる」ということ自体が難しいということも16年間の経験で分かってはいても、それでもやはり新しいモデルを創り出さないと、商店街の未来は見えてこないのも事実です。このことは被災地だけでなく、私たち自身も考えないといけない大きな課題なのです。
(2011.10月発行)