■新長田の新基本計画
(NO.15)
三国志祭
神戸の中心市街地はどこ?と聞かれるとなんと答えますか。かつては湊川や新開地がそうでした。いろんなお店、劇場や映画館、遊園地までありました。ボールを投げて的に当たると両手を上げる鬼がいました。懐かしいでしょ。「ウォー」という声が出てたような気がしますが、思いこみかも知れません。「どこ行くの?」「ええとこ、ええとこ聚楽館(しゅうらくかん)」なんていうフレーズも思い出します。今だとやっぱり三宮・元町です。中心が東へ移動したのです。都市のダイナミズムとはこういうことを言うのです。
では新長田はどうでしょう。震災前から市の都市ビジョンでは六甲道と並んで、副都心という位置づけでした。震災復興事業によって副都心らしいハード整備はほぼ完了しましたが、かつても今も神戸の中心市街地とは言い難いです。今回の新基本計画の認定でもめたのもそこでした。大都市圏では複数の中心市街地を認めるとは国の言い分でしたが、なかなか認めてもらえませんでした。旧の基本計画も震災復興の特例だというわけです。
内閣府とのやりとりでも当初はきつかったようです。鉄人28号プロジェクトなんて「ちゃちな事業」とまで言われました。地元は悔しい思いをしたものです。オブザーバーとして出席していた庁内検討会議で、鉄人プロジェクトを新長田だけのものではなく市全体で取り組む事業と位置づけて、横山キャラクターが市内の至る所に闊歩するようなものにしましょうよ、と何度か訴えましたが、どうもここでも「中心」と温度差があったようです。
六間道なごみサロン
そのうち国の方も大都市圏での認定について柔軟になり、県下では宝塚に次いで三都市が認定されたのです。中心市街地活性化協議会が発足したのが2006年11月ですから、認定を受けるまでに1年と8ヶ月かかりました。計画の中身も鉄人プロジェクトは少し控えめになり、「人が集い、交流する、賑わいあるまち・新長田」というコンセプトで、数値目標も「事業所数」「年間小売販売額」「休日歩行者通行量」という最初の意気込みから言うと平凡なものになりました。それでも、鉄人プロジェクトはユニークな事業ですから、小さくまとまらずに大きく羽ばたいてもらいたいものです。
活性化協議会の母体になっている神戸ながたTMOは、このコラムでも触れましたがいろいろとユニークな活動をしています。人材も豊富です。その意味では安心して見ていられます。今後は地元民や市民を幅広く巻き込んでいく活動に期待をしましょう。
(2008.11月発行)