■新基本計画 ―尼崎市の場合―
(NO.14)
尼崎市は平成11年には旧基本計画を策定し(私が策定委員会の委員長でした)、平成14年には、全国に先駆けて設立されたまちづくりのための民間組織「尼崎中央・三和・出屋敷まちづくり(株)」を母体に「TMO尼崎」が発足しました。このTMO尼崎は、連載の7回で紹介したように、いろいろユニークな活動をやってきました。メイドインアマガサキショップ、大学との協同研究、いろんなタイガーズイベントなどなど。全国でも活躍しているTMOのひとつでした。
新基本計画ではこのTMO尼崎の活動を引き継ぐことはもちろんですが、それだけでは認定を受けられないので、商業の活性化以外に、産業都市尼崎の特性である「ものづくり」と既存の歴史・文化資源を活用したまちづくりを目標に掲げたのです。数値目標もそれに合わせて、「小売業年間販売額」「サービス業等事業所数」「休日の歩行者通行量」の3つを設定したのです。区域は阪神尼崎駅から阪神出屋敷駅までの中央・三和・出屋敷商店街を中心とした地域です。旧計画より少し狭くなっています。
これだけを見るとあまり特徴のない計画なのですが、駅前再開発などのハード整備がすでに完了している都市ですので、何か目玉事業があるわけでもなく、まちなか居住の推進も難しかったので、大都市圏での中核都市としてこれまでの実績をさらに積み上げていくという方向なわけです。昨年の10月の本部への初伺いには私も同席させてもらいましたが、そこで聞かされたのは、無理をして居住人口を増やすことはない、都市間の棲み分けを考えることも重要だということでした。まだ、この時期には大都市圏での認定がまだなくて、本部の方も地方都市との違いをどうするか考えていた時でした。この後は、計画の中にいかに尼崎らしさを出すのかということに議論が集約されました。
庁内検討会議が始まったのが平成19年の4月ですから、認定を受けるまでに1年と3ヵ月。伊丹市と比べると短かったですが、取りまとめをおこなっていた経済局産業振興課のメンバーはかなりしんどかったと思います。
中活協議会の方は、3回の準備会を経て平成19年の7月に設立されました。地元の人の意見を聞く三分科会からなるワークショップを3回実施し、協議会も精力的に活動しています。にぎわいを作るための仕組み作りというソフト事業が中心になるわけですから、どれだけの「人」が活性化のために動いてくれるのか、その体制づくりがこれからの大きな課題です。また、TMO尼崎が創意工夫のある活動をさらに展開していくことが、商店街だけでなくまちを元気づけることになります。タイガースの強い今年はまたチャンスなのです。
がんばれタイガース!!がんばれ尼崎!!
尼崎市中心市街地区域
(2008.10月発行)