■キャラクターを活かせるか?  (NO.12)

あぶさん
 漫画のキャラクターを使った商店街は、他にもあります。野球漫画で有名な水島新司は新潟市出身で、市内の古町通五番町商店街(ふるまちモール)には、あぶさんやドカベンなど水島野球漫画の主人公たち7体の銅像が飾られています。その名も「水島新司マンガストリート」。水島ファンにはたまりません。でも、それらの銅像をよーく見てみると、似てるようで似てないところがご愛嬌。ちょっと微笑んでしまいます。
 ご当地の出身ではありませんが、東京都青梅市の駅前には赤塚不二夫会館があります。そうです、おそ松くんやバカボンで一世を風靡したギャグ漫画家の赤塚不二夫です。青梅市(住江町)は街中に昭和の懐かしい映画看板を掲げたまちおこしに取り組んでいて、新潟で看板屋さんで働いた経験のある赤塚不二夫とのコラボが実現したというわけです。赤塚ワールド満載の楽しい空間です。私も思わず(ここでしか売ってないであろう)キャラクター絵柄のTシャツを買っていました。そのTシャツは勿体なくて未だに着ていません。(そっちのほうが勿体ない?)

赤塚不二夫会館
 赤塚不二夫会館の隣には「昭和レトロ商品博物館」なるものがあって、昭和に使われていた各種商品が所狭しと展示されています。「昭和レトロ」は今もブームですが、こちらもなかなかおもしろい空間になっています。
 こうした漫画家と漫画のキャラクターを利用した活性化は、成功したといえるほどには残念ながらなっていません。水木しげるロードはそこそこ観光客を呼べていますが、一度行けば十分ですし、リピータが増えるような仕掛けが今のところはありません。一番大きな理由は、水木しげるも水島新司も現役の漫画家ではありますが、石ノ森章太郎も赤塚不二夫も今の若い世代には馴染みがないということです。漫画はみんなに愛されながらも、やはりいわば「季節モノ」ということなのです。加えて若い世代の漫画離れも顕著です。あの怪物漫画誌といわれた「少年ジャンプ」もここ10年ほどで発行部数は半分以下になっています。まちや商店街のシンボルとして利用しながら、プラスの仕掛けや仕組みがないと集客効果はありません。

水島新司漫画ストリート
 新長田地区でこれから事業展開していく横山光輝プロジェクトもそうです。鉄人28号や伊賀の影丸、また三国志も横山ファンならお馴染みですが、それらを知らない世代に何をアピールしていくのか、それが大きな課題です。もちろん、関係者はそんなことは十分承知の上でプロジェクトを推進されているのですが、小さくまとまらずに壮大な実験事業になることを切に願うばかりです。
(2008.8月発行)