■富山市とLRT
(NO.4)
富山LRT
富山市の場合は、青森とはちがって、公共交通機関を使ったコンパクトシティを目指しています。その公共交通機関こそが現代的な路面電車のLRTです。LRTとはlight railway transitの略で、最新式の低床車両を導入。
1台なんと約2億円!!ヨーロッパではすでに少なくない都市で導入されており、車社会からの脱却を目指した環境に優しい交通機関として早くから注目されていました。わが国では近年ようやくその動きがみられるようになっています。
すでに岡山や富山の隣の高岡でも数台が導入されていますが、富山では七両を所有し、旧JR富山港線の軌道を利用してすべて新型車両のみで運行しています。名前は「PROTRAMポートラム」。運行主体は、富山市、富山県そして民間企業からの出資(市民からの寄付も)による第三セクターの富山ライトレール(株)で、平成18年4月29日に開業しています。
富山港線が廃止されてからは、まち中に出るのも大変だった高齢者の利用が大幅に増加しています。新しい市民の足としてすでに定着しているのです。JR富山駅の南側には旧来の私鉄路面電車(チンチン電車というほうがよく似合ってます)が走っていますが、将来は北と南を繋げて環状線化も計画されています。
商業の活性化では、中心市街地の商店街のひとつである総曲輪(そうがわ)通りの西南で、地元百貨店の大和(だいわ)をキーテナントとした大型商業施設の再開発事業と、その隣にこの9月17日にオープンした全天候型ガラス屋根の広場である「グランドプラザ」の整備事業があります。このグランドプラザは賑わい拠点の創出を目指したもので、中心商店街の貴重な公共空間となっています。
富山LRT路線図
さらに、総曲輪通りのひとつ北の通りには「越中食彩にぎわい横丁」が3月にオープンしました。6つの飲食店が軒をならべるこの横丁は、商店街に足らなかった飲食機能を充足させる目的で、(株)まちづくりとやまが事業主体となって運営しています。確かに、総曲輪とその西にある中央通り商店街近辺には、飲食店はありませんでした。昨年訪ねた時もちょうど昼時だったのですが、適当なお店が見つからなかったので仕方なく富山駅まで戻ったのを思い出します。ちょっとした商店街ならば、その裏通りに大抵はいい飲食店があるものですが、地方都市ではそうした需要がすでに無くなっているのかもしれません。
蛇足ですが、富山駅中のお店で富山名物の鱒寿司をつまみながら、軽く飲んでいたのですが、その時にお店のテレビでやっていたのがあの駒大苫小牧と早実の決勝戦でした。ホテルのチェックインまでの時間を十分に堪能できました。次の日は、高岡市のLRT(万葉線、2台走っています)に乗りに行ったのですが、やっぱりおいしいお寿司屋で決勝戦の再試合を見たのは言うまでもありません。地方の視察旅行は楽しいです。
(2007.12月発行)