■観光とパサージュ広場  (NO.3)

青森パサージュ広場
 青森と言えばねぶたですが、弘前と黒石は「ねぷた」です。同じお祭りですが、南部氏と津軽氏との確執から違う名前を使ったとか。よくある話ですが、昔のうらみつらみが尾を引いているわけです。名古屋の人が「美濃か三河か」を話題にするのと同じです。関西だと、仲が悪いわけではありませんが、なんでもかんでも大阪と一緒にされると「大阪と違うで」とひとこと言いたくなる京都人や神戸人みたいなものでしょうか(例えば大阪弁)。
 ま、そんな話はともかく、青森市のねぶたは年間350万人を超える観光客を集めます。観光客1人当たりでどれだけ使うかは分かりませんが、結構な額が市内に落とされます。だとしたら今さら中心市街地の活性化なんて必要なの?と思いがちですが、年中ねぶたをやってるわけではありませんから、観光客が集中するのはお祭りの期間だけですし、「近年の観光ニーズの多様化などを背景に減少傾向に転じている」(青森市認定基本計画より)のです。ですから、従来の観光資源を活かしながら、観光物産館(アスパム)や他の文化観光交流施設を整備して通年型の観光都市を目指し、さらに市民と観光客、市民同士の交流を図ることが重要な戦略になってきています。
 この交流のための役割を担うことが期待されているのが、商店街での「パサージュ構想」です。パサージュとはフランス語で「小径」という意味ですが、まちの回遊性を創り出すためのひとつの仕掛けで、昔の下町には当たり前のように見られた「路地」や「路地裏」をおしゃれ(!?)に言い換えたものです。すでに、パサージュ広場は市が平成12年に整備しており、今回は民間と協力してこのパサージュを面的に拡大しようとしています。今はもう懐かしい光景になった路地での将棋や夕涼み、また井戸端会議なんていうのが再現できればしめたものです。
 全国の商店街、とくに地方都市の商店街では空き店舗がいつのまにか更地になって、気がつくと駐車場になっているのをよく見かけますが、この青森市のパサージュ構想がうまく行けば、今度は駐車場がパサージュ広場に変わってるかも知れません。大いに期待したいものです。
 最後に観光地への苦言をひとつ。寿司で有名になった小樽もそうですが、青森も海鮮物がとてもおいしくて重要な観光資源です。ところが、努力をしなくても人が来るものですから、値段は高くなるしだんだんと味も落ちてきます。駅前で食べた三色丼(いくら、ウニ、ホタテ)はびっくりするくらいおいしい、ということもなく、しかもどのお店でも、カルテルを結んだように値段が同じなのです。小樽でもそうでした。観光客目当てだけの商売は、いずれ飽きられることを肝に銘じて欲しいものです。それだけでなく、儲けだけを目指す食の観光化は、その地域の食文化を衰退させてしまいます。
 がんばれ、青森!!
(2007.11月発行)