■「長田神社前商店街(振)」(長田区) (NO.82)
 神戸市の商工業や産業の守護神である長田神社にて、業界の繁栄を祈願する「商工祭」と長田四大祭りの「花水木まつり」がゴールデンウィークに同時開催され多くの人でにぎわった。
 それら最近の活動内容を伺いに、長田神社前商店街(振)五嶋靖浩理事長を訪ねた。
 同商店街が、掲げているテーマは 地域密着 。「半径1km圏内、3.5万人の住民の内、7割を顧客として囲い込めれば、地域の商店は生き残ることができる。現在は五割を達成できている実感。」と目標を掲げる五嶋理事長。
 長田神社前商店街、食遊館(食品スーパー)、長田中央いちば、プレノ長田(専門店街)の4団体で「長田神社地域活性化協議会」を設立し、"四本の矢"で連携、地域活性化のための取り組みを進めている。

―ポイントカード事業の充実―
 「タメ点カード」は、商店街や市場など、加盟店(16,000軒)での利用金額に応じてポイント加算される。単なるポイントカードではなく『地域カード』として位置づけされているため、商店だけでなく、近畿タクシーの乗車や、医院の来院にもポイントがつくのが特長。 中でもタクシー利用は高齢客に好評で、買い物帰りにタクシーを利用する客が多いそうだ。
 貯まったポイントは、金券やイベント時のガラガラ抽選券に交換できる。今後は購入商品の配達無料券への交換や、現在の磁気カード式からIC化への切り替えなどが検討されている。事業運営費も賄えるシステムのため、様々なサービスを充実させながら無理なく継続できているという。

―長田神社との連携―
 長田神社と連携したイベントを活発に開催している。そのきっかけは長田神社の参拝者が減っていた十年前、賑わいを取り戻そうと長田神社地域活性化協議会が立ち上がり、神社の「夏越祭」盛り上げのため、「夏越ゆかた祭」を始めたことだ。 神社沿道に多くの屋台が並び、ゆかた着用の来街者に特典を提供するというこの祭は、今年の開催で十回目を迎える。創意工夫の結果、当初は300人だった来場者が今では数万人規模になり、にぎわいを取り戻すことに成功した。 この祭で屋台を出している、ある店舗は、百円の商品を一日で1,500本も売り上げるという。
 毎月一日、神社参拝の「おついたち」に合わせて、「ぽっぺん工房市座(手作り工芸品の出展販売)」、「ぽっぺん市(商店の売り出し)」が開催される。 「長田萬福茶屋」では、商店街に多くある和菓子店・洋菓子店が出展販売、お茶の無料サービスを実施している。茶屋での販売額が、既存店舗より多いお店もあるとのことだ。
 イベント開催によって、集客、にぎわいづくりはもちろん、店舗の売上増も実現できているのが、長田神社前商店街のイベントの強みである。

―顔の見える地域づくり―
 年に2回、地元の長田商業高生が授業の一環として体験販売でイベントに参加しており、商品仕入れを生徒が行うなど、充実した活動を行っている。また、地域の小中学校にイベントチラシを配布して告知し、地域の子どもたちの参加を進めている。「小中高校生を未来のお客様に育てたい。」と五嶋理事長はその意図を語る。

―今後の取り組み予定―
 「タメ点カードのリニューアル、宅配事業の開始、防犯事業を予定している。この他、長田神社地区のイメージキャラクター『グージー』の外部発信も強化していきたい。」と五嶋理事長は今後の抱負を語った。

(2013.6月発行)