■デュオこうべ(中央区)(NO.44)

浜の手「デュオドーム」
 高速神戸駅からJR神戸駅をくぐり、ハーバーランド地区に繋がる、二つの広場を持つ南北約400mの地下ショッピングゾーン。54店舗がひしめく「デュオこうべ」は、山の手・浜の手と二つの顔を持っている。地下鉄海岸線ハーバーランド駅に直結し、また公共通路の側面もあり、大勢の利用客で賑わっている。
 デュオこうべの歴史は古い。1974年、「サンこうべ」として開業。リニューアル、増床を重ね、従来の高速神戸駅からJR神戸駅までの「山の手」に加え、JR神戸駅からハーバーランドに繋がる新地下街「浜の手」が竣工。92年に「デュオこうべ」としてリニューアルした。
 95年の大震災では、地下街の強みか、被害があまりなく、ライフラインもすぐに復旧。1月31日には営業再開した。
 震災以降も、地下鉄海岸線開通などを機に様々な改修を重ね、2009年2月には、山の手にある滝がシンボルであった「カスケード広場」を、一般公募により「サンポルタ広場」に改称。サン=太陽、ポルタ=港を意味するスペイン語だ。バリアフリー化を進め、利便性をさらに向上させた。同時に、トイレや公共通路照明、サインなど目立たなくも非常に大切な基盤整備も進めた。
 山の手と浜の手は、全く異なる顔を持つ。サンポルタ広場を持つ山の手ゾーンは、30〜50歳を対象に、親しみやすく、安価な商品が豊富だ。一方、デュオドームを持つ浜の手は、10代後半から30代のOL、ファミリー層をターゲットに、ハイセンスな商品が並んでいる。

山の手「サンポルタ広場」
 一方、デュオこうべを取り巻く商業環境は非常に厳しい。ハーバーランド地区では、大型核施設の撤退が相次いでいる。デュオこうべ名店会も、ディベロッパーと協力しながらテナントミックスに力を入れて、空区画が発生しない努力を続けている。しかし、「ハーバーランド全体として、将来を見据えてどのようにプランニングしていくかが大切」と話す名店会の古屋貞雄会長。小手先の改善策では、抜本的解決に繋がらないことを見抜いている。
 二つの広場では、様々な催事が行われている。歳末クリスマスセールやバーゲンなど、よりお客様の満足度を満たす販促に力を入れてきた。「サンポルタ広場をより有効に活用していきたい」と古屋会長。プロジェクトチームを発足させ、テナント、お客双方にプラスとなる活用の検討が進められている。
 ディベロッパーが一元管理し、にぎわいのある商業施設は、ナショナルチェーンが主流だ。後継者不足に悩むことはない反面、共同歩調が難しい側面がある。しかし、デュオこうべではこの度の「こうべ買っ得商品券」利用にも力を注ぎ、多くの買物客が利用している。また、サンポルタ広場リニューアルを機に、はみ出し陳列をはじめとしたルールを再徹底。テナントも応え、しっかりと守られている。
 湊川・新開地地区からハーバーランド・モザイク地区まで、南北に繋がる神戸屈指の商業エリア。その中心に位置する、デュオこうべ。お腹も心も満たされる山の手ゾーンと浜の手ゾーンが、デュエットしながら弾んでいる。
(2009.6月発行)