■新長田一番街商店街(長田区)
(NO.42)
鉄人28号等身大モニュメントイメージ図
春の陽気に包まれた3月20日、新長田一番街商店街において、アーケード竣工記念セレモニーが開催された。「波」をモチーフに、従来の「I」字型から段差のある「L」字型商店街に生まれ変わった。鵜崎副市長ら来賓も大勢出席し、新長田南地区の新たな玄関口の誕生を祝った。アーケードの誕生によって、駅前の新長田一番街、大正筋、六間道、本町筋が1つにつながった。回遊性の更なる向上が期待される。
大正筋、六間道など歴史ある商店街が多数林立する新長田駅南地区。長田港から発展を遂げた同地区においては、一番街の歴史は幾分新しい。転機は、昭和20年代後半、地元請願による国鉄新長田駅の開業だ。店舗が集積し、任意団体として新長田の発展に寄与してきた。昭和50年代に、駅前に大丸を核テナントとするジョイプラザが開業。時を等しく、同商店街にアーケードが整備されたことに伴い、様々な業種が集う振興組合となった。
阪神・淡路大震災では、8割近くの木造店舗が崩壊。再開発地区に指定され、仮設店舗での営業を余儀なくされたが、同商店街の店舗はそれぞれアスタプラザウエスト、イーストに入店した。2008年3月には、同地区最後の商業棟となるアスタプラザファーストが開業し、震災から実13年を経て、仮設店舗での営業から脱却した。同地区は地下、1階、2階の3層モール構造が特色だが、「地下及び2階の空店舗が目立つ」と新長田一番街商店街振興組合の伊丹一雄理事長は危機感を強める。
神戸市内の商店街の多くは、駐輪対策で頭を悩ませている。一番街も同様で、特にお客以外の通勤客の違法駐輪も目立つ。有料駐輪システムの導入の検討も進められている。
震災からの厳しい商環境に晒されながらも、一番街商店街は、地域住民に愛される密着型のイベントを数多く展開してきた。本場鳴門の有名連を招いた阿波踊りパレードを主催。毎年1回、人であふれて通行できないほどの人気の夏祭りや、愛犬の写真をプロカメラマンが撮影する「ワンショットワン」など個性的な取り組みは、年々参加者が増加している。
ふれあい夏まつり
同商店街を取り巻く環境は、ダイナミックに変化している。08年2月、新長田地区初のビジネスホテルが開業。遠方の出張客などが利用し、従来と異なる客層も増えてきた。新長田駅前広場から再開発ビルに直結する2階部分の歩行デッキの工事も始まり、3層モールの完成も近づいている。
集客の目玉は、鉄人28号等身大モニュメント(18m)だ。同商店街に隣接する、防災公園の機能も有する1.6ヘクタールの若松公園内に、2009年8月完成予定だ。新長田地区の商店街が中心となって取り組んできた、神戸出身の漫画家・横山光輝氏の偉業を語り継ぐ「KOBE鉄人PROJECT」の一環であり、同商店街も鉄人に対する期待も大きい。
大がかりな活性化事業が予定、実施されているが「地域のお客様にとって信頼される、魅力ある商店街づくりを努力、邁進していかねばならない」と伊丹理事長は気持ちを引き締める。
近隣ではマンション建設も進み、様々なハード事業は、街が変わろうとする大きな渦を体感できる。一方で、ハードだけに頼らず、地域に愛されるソフト事業を並行して実施する。
新長田一番街商店街は、訪れる度に街の変貌を実感することができる。
(2009.4月発行)