■銀天街商店街・大街道商店街(愛媛県松山市)
(NO.5)
銀天街商店街
司馬遼太郎の名作『坂の上の雲』のまちとして、大いに注目を集めている愛媛県松山市。NHKドラマの効果もあり、多くの観光客で賑わっている。松山の中心市街地は、「銀天街商店街」と「大街道商店街」という2大商店街が、L字に連なっている。それぞれの両端は、いよてつ高島屋と三越。2核1モールを形成している。
伊予鉄道松山市駅のすぐ隣に、銀天街商店街の巨大ビジョンが見える。その名の通り、あえてアーケードの照度を落とし、天井に無数に輝くイルミネーションが、夜の星空を演出している。通行量は多く、自転車マナーを啓発する女性スタッフが、自転車から降りるよう注意を促している。
商店街の端まで歩き、左折する。通路幅が一気に倍になる。「大街道商店街」はまさに松山の大動脈。開放的で非常に明るい。映画館、郷土料理店、アミューズメント。松山のすべてが揃っている。
松山は夏目漱石『坊っちゃん』の舞台であり、正岡子規の出身地としても知られ、松山城を有する文学の香り溢れる街。
大街道商店街
観光客の注目と対象的に、この2年ほどで空店舗がかなり増えたそうだ。賃料も半値近くまで落ち込んでいる物件もある。四国随一の超広域型でもある両商店街。高速道路無料への期待も大きい半面、広島や九州の商業地域と顧客の奪い合いが予測される。 「観光客が商店街にも足を向ける仕掛けや、新たな魅力作りが必要」と話してくれたのは、松山大街道商店街振興組合の小早川浩事務長。食の名物づくりも含め、新たな地域おこしを模索している。郊外の大型店乱立も、大いに影響があったそうだ。
課題があるとはいえ、商店街は人通りが絶えることなく賑わっている。駐輪マナーは極めて良く、空港や観光地以外でも、大勢の住民ボランティアが街づくりに参画している。この「市民力」が、松山の大きな底力かもしれない。
(2010.3月発行)