■志賀県長浜市(NO.6)
 長浜市は滋賀県の北部に位置する人口125,000人の地方都市である。「黒壁スクェア」「曳山博物館」「大通寺」等の観光資源と従来の商店街がほぼ一体化していることが特長だ。
 現在は「黒壁」スクェアなど、多くの観光客が足を運ぶ長浜市中心商店街も、一時期は「ばあさん2人に犬猫1匹しか通らないまち」と表現されるほど衰退した。モータリゼーションの発達、郊外への大型店の出店、消費者の購買動向の変化が大きな要因だ。
 その後、郊外の大型店商業施設との差別化について地域の人と何度も真剣に討議した。一時は中心市街地に駐車場を設置する案や大型店を誘致するなどの意見も出たが、お金では絶対買えない歴史、文化、風土といった「長浜らしさ」という特性を活かすことが差別化になるのではと考え具体化に向けて動き出す。
 売り出し、安売りなどでお客を集めていたのをお祭り的なイベントに変え、楽しさを創出するなど発想の転換を行った。
 そうした中、まちおこしの一つ「黒壁」スクェアがオープン。急激に観光客が増えた。
 大手門通り商店街の吉田理事長は「現在は観光客、通行量も急増し追い風状態であるが、商売として全体が良いわけではない。お客さんが増えたことにより忘れかけていた対面販売、人と人との会話が個人店の基本と気づく。お客様のために何が出来るか考え、これからの商店街の活性化に向けて意識を変えていきたい」と話す。
 店頭には商店街の雰囲気に合わせた休憩用の椅子が置かれまち全体で癒しの空間を創出し、お客様をお迎えする雰囲気に包まれている。各商店街は清掃も徹底され、近隣住民、観光客に何度も来て頂けるよう努力を続けている。
(2011.5月発行)