■東京は今日も元気です  (NO.28)
 毎年、3回生ゼミで東京視察に行ってます。いつもは梅雨が始まる前の5月下旬に行くのですが、例のインフルエンザの大流行のために延期したので、11月の始めに行ってきました。学生たちは金曜の夜行バスで東京入りし、日曜の夜行バスで帰るという、1泊2車中泊2日という結構過酷な日程です。視察の目的は、日本で唯一元気と言っていい東京を肌で感じることです。遊びに行くのではなくてあくまでも「視察」ですから、見る所は前もって決めています。最近では、班ごとにテーマを考えさせて、それぞれいろんな所を見に行ったりしていますが、巣鴨の地蔵通り商店街、上野アメ横、谷中、六本木ヒルズ、東京ミッドタウンなど、いくつかの商店街や大型再開発地などは必ず見てくるように指示しています。
 私は、もう夜行バスに乗れる歳ではないので、土曜の朝に神戸空港から飛行機で行きます。神戸在住の私にとっては、東京行きはこの飛行機が安くて早くてホントに便利なんです。集合場所は浅草の雷門前です。東京に着いたら、まず、築地へ行って海鮮丼などのおいしい朝食を食べておいでと言ってあるので、学生たちは満足そうな顔をして待っています。仲見世通りを中心に小1時間ウロウロしたら、それぞれの視察に散っていきます。
 このあと、大抵私は昼前に巣鴨の地蔵通り商店街へ行って、商店街の中の鰻屋でお昼を食べます。関東風の1度蒸して焼いた鰻が好きなので、毎回楽しみなのです。何人かで行く時は、最初に白焼きをわさび醤油でいただいたあと、鰻重で締めます。もちろん、軽くお酒もいただきます。昼間からお酒も飲めるのも「視察」の醍醐味です。何年か前にたまたま同席した60代のご夫婦は、週に1回、少なくても月に3回はとげぬき地蔵尊のある高岩寺にお参りして、ここで鰻を食べるのが恒例行事となっているとのこと。この商店街が人、とくに高齢者を集める秘密を教えてもらった気がしました。
 今回は、久しぶりに銀座を歩きました。人の数の多さにびっくりします。不況だと言われて久しい日本経済ですが、この賑わいをみるとそんな話は嘘のようです。メインの通りには、きらびやかな高級ブランド店が並び、歩いている人はみんなキラキラと顔が輝いています。服装もお洒落だし、高そうです。ハーバーランドの古着屋で買った1,000円のジーンズ(一応リーバイスですよ!!)にユニクロのTシャツを着ている私のひがみでしょうか。あ、銀座にもユニクロはあって、結構人気は高いのですがね。
 新宿駅周辺を歩いてみても、同じ気持ちになります。ギネスの世界記録に認定された1日平均乗降者数は約350万人!!JR・私鉄・地下鉄を合わせて12の路線があり、駅の拡張により隣の代々木駅と繋がるような勢いです。駅そのものがまるごと街になっていて、周辺を含めるとちょっとした都市と言ってもいいでしょう。こんな所は日本のどこを探してもありません。その代わり、疲れます。乗り換えで何度か駅を歩くだけでドッとしんどくなります。東京で生きるということはほんとにパワーがいります。老いも若きも、このパワーがなくなれば、東京という日本で一番元気な街に取り込まれていくのです。
 人通りの少ない夜の長田神社前を歩いて帰ってきましたが、やっぱりここの方が落ち着きます。昼も夜も人で一杯で、何時電車に乗っても座れないような街には住みたくないなぁ、と東京から帰るといつも思うのです。
(2009.12月発行)