■事例研究 その1
(NO.87)
深草100円商店街チラシ
ここ数年、国や自治体の審査員ばかりで、商店街活性化の現場に出かけてません。編集部から活性化の事例を紹介してくださいと言われて、はて?どこかで何かいい事例はあったかな?という体たらく。これではいけません。ちょっと性根を入れて、面白そうな事例を探してみます。
経産省近畿経済産業局のホームページで「商業振興・まちづくり」を開くと、たくさん支援事業が並んでいます。「地域商業自立促進事業」、「地域商店街活性化事業」、「商店街まちづくり事業(商店街組織向け)」、「商店街まちづくり事業(中心市街地活性化事業)」などなど。それぞれの支援事業の中身についてはホームページを見てもらうことにして、まずは、採択されたこれらの事業の中から。
京都は伏見区にある深草商店街。大阪と京都を結ぶ本町通(江戸時代には参勤交代に使われた)沿いにあって、店舗数は108(小売63、サービス26、飲食19)で、組合員数52(小売33、サービス12、飲食7)の近隣型商店街です。組合非加盟の食品スーパーや銀行、小学校も隣接している典型的な駅前商店街です。平成24年には「暮らしのサロンの拠点づくりをきっかけとした商店街まるごとサロン化」という事業コンセプトで「地域商店街活性化法」の認定を受けています。
ここは通行量も多く、近くに小・中・高・大学(京都教育大学)もあることから若年層も多い商店街なのですが、店主や顧客の高齢化にともなって空き店舗も増えています。その空き店舗を利用したのが「サロン化」事業で、地域の社会福祉法人と連携して障がい者を雇用したカフェ「ふかふか家」を運営しています。1階にはカフェ、無料の休憩・交流スペース、地域の情報掲示板が、2階には子育て支援教室があります。もちろんトイレはバリアフリーです。
ふかふか家
空き店舗を利用した商店街のこの種の交流スペース事業は、開設はしたもののなかなか人が集まらなくて運営はかなり大変なのですが、ふかふか家は平成25年度には、補助金を含めてですが、収支トントンの経営ができています。平成26年度には、補助金がなくても運営ができるように、朝の営業の開始、地元大学の龍谷大学との連携で地域へのPRのための広報誌の発行、ポータルサイトの開設などに取り組んでいます。
さらに、平成23年から始めた100円商店街も今年で7 回目を数えていて、非組合員を含めて100店舗以上が参加するまでになっています。商店街全体をサロン化するイベント事業「深草まるごとサロンの日」との同時開催では、合わせて1万人を超える集客を実現しています。
深草商店街(100円商店街)
カフェの売り上げをさらに伸ばすこと、貸し室事業の認知度を上げること、イベントの頻度を増やしてその集客を売り上げ増大につなげることなど、まだまだ課題は多いですが、地域との協力・連携で交流拠点の運営と様々なイベントを複合的におこなっているところに注目したい事例です。
(画像はすべて深草商店街振興組合のホームページより)
最後にお知らせです。市役所商業課のIさんがFacebookに「いいとこ再発見!教えて神戸の商店街(参加も投稿も自由です〜)」を開設されています。市内の商店街のいろいろなイベントや情報が満載です。一度ぜひ覗いてみてください。みなさんからの情報もアップしてくださいね。
https://www.facebook.com/groups/249130275283196/
(2014.11月発行)