■釜石を歩いてきました  (NO.71)

いざ出発
 5月の連休に釜石を訪れた際に、「来月、釜石版あいウォークをするのでぜひ来てください」とお誘いを受けていましたので、6月9日開催の「かまいしウォーク icadatte」に行って来ました。
 このコラムでも何度か紹介した「こうべあいウォーク」の釜石版です。主催は、NPO法人@リアスサポートセンターです。@リアスとは震災の年の7月の神戸視察以来のお付き合いで、今年のこうべあいウォークへの参加が今回のかまいしウォーク開催のきっかけだったそうです。(詳しくは「かまいしウォーク」のホームページ。
http://cadatte-kamaishi.com/i-cadatte/index.html#id65)
 快晴の9日の朝、青葉公園商店街での受付の後、更地が広がるまちなか5Kmほどを、要所要所で説明を受けながら、ゆっくりと歩きます。参加者は約90人。地元の人も多数います。年齢層も若めです。神戸からは復興塾のメンバー5人が参加しました。何度も釜石へは訪れてますが、こうして歩くのは初めてです。
 青葉通りから5分ほどの高台にあって、桜の名所として知られている薬師公園からは市街地と釜石湾が一望できます。実は、迂闊なことにここも初めてだったのですが、@リアスのメンバー何人かが避難したところで、津波がまちを襲う状況を全部見ていたとのこと。人や車が津波に飲み込まれるのも目撃しているのです。「避難したあの日以来、今日まで来れなかった」とつぶやくスタッフ。その心中は痛いほど分かります。

薬師公園から
 その後、薬師公園に隣接するのぞみ病院の前を通り、再建して営業を再開したお店が何軒かある大渡商店街から、その全壊を惜しみながらのんべえ横丁跡(一部のお店は釜石駅西の鈴子公園の仮設店舗で営業を再開)を歩いて、「みんなの家・かだって」で休憩です。ここまでで約1時間半。ここで、商店街でスポーツ品店を営んでいた小林さん(バー・ロハのマスターでもあります)から震災時のお話を伺いました。前日の8日にはここで前夜祭が催されて、地酒にバーベキューなどを楽しんだので
す。もちろん、二次会はバー・ロハでした。


釜石みんなの家

のんべえ横丁

避難道路から見た浜町近辺
 
 この後は、市役所前から避難道路を歩いて港に近い浜町を行くのですが、私はあえなく市役所前で脱落。痛む足を引きずりながら、ゴールの青葉公園商店街へ一足お先に戻りました。日頃の運動不足が祟りました。ゴールではすでに豚汁が用意されていましたが、みんなが戻るまでは我慢、我慢。お昼をだいぶ過ぎて戻ってきた参加者とおいしくいただきました。
 参加者たちはそれぞれにいろんな感想を持ったことでしょう。当初、主催メンバーには「まだまだ更地が広がってる釜石でやってもいいの?」という迷いもあったらしいのですが、直前の開催案内にもかかわらず多くの人が集まり、スタッフたちは安堵の表情でした。釜石のまちがどう変わっていくのかを見るのがこのウォークの目的。来年も必ず参加するぞー。

  あの日を忘れないために。
  未来への記憶を積みかさねるために。
  釜石の今を焼き付けて欲しい。

  (かまいしウォークのホームページより)


◆今回のコース:青葉ビル前→薬師公園→のぞみ病院前→大渡橋→大渡り商店街→釜石消防署→のん兵衛横丁跡→みんなの家→釜石市役所前→避難道路→浜町東前→市営釜石ビル→只越町商店街→市民文化会館前→青葉通り→ゴール
【みんなの家】世界的な建築家伊東豊雄氏が、東日本大震災において家を失ったり避難をされている方々に、精神的な安らぎを感じられる空間「みんなの家」を提供しようというプロジェクトによって只越町に作られた建物。仙台や陸前高田にもある。
(2013.7月発行)