■104の提案  (NO.48)
 2回のワークショップを経て、石巻復興支援ネットワークによる復興計画案ができました。「石巻市震災復興基本計画 市民からの104の提案」というタイトルが示すとおり、この計画案には、なんと104もの提案が書かれています。六月末には参加した中高生たちから直接市長に届けられました。
 その前文です。「2011年3月11日に発生した東日本大震災は、私たちの住む石巻市に大きな被害をもたらしました。しかし、多くの市民やボランティアの活動によって勇気づけられ、市民が主体となって震災の前よりも住みよい街をつくらなければと考えはじめています。
 このたびの石巻市震災復興基本計画策定に際し、出来るだけ広い市民の声を集めたいと、こどもからおとなまで幅広い年代の方々に集まっていただき2回にわたる意見交換会の場を持ちました。出た声については出来るだけ手を加えずに104の提案として、そのままお届けすることにいたしました。震災復興基本計画はもちろん、今後の具体的な施策の実施にあたり、その節目においてご提出いたしましたひとつひとつの声(提案)にたちもどって、検討・検証していただければ幸いです。」
 全部を紹介できませんが、いくつか見てみましょう。
景色・自然・食べ物など、石巻の誇りを再確認・共有して、広く伝えよう
石巻の子どもは、「未来の大人」であると確認し、その意見や役割を積極的に評価しよう
市民が市政を批判するのではなく、ともに提案できる社会をつくろう
震災復興に関わる様々なアイデア・情報が集まり、共有できる情報センターを、小さくても、他施設と共有でもよいので、早くつくろう
頑張って立て直しを図っている商店主、漁業従事者や農業従事者で困っている方々への継続的な経済支援の仕組をつくろう

提案の87からは中高生の声です。


「がんばっぺ石巻」じゃなく「ふんばっぺ石巻」を目標に。ふんばるは今より悪くしないことです
被災して生活が大変な人のことも考え、的確で、分かりやすく、他市町村より早い決断ができる自治体を求めます
子どもと大人が協力し、お互いにとって快適な街を目指そう
大型スーパーではなく、人と人の付き合いがあり、賑やかで、活気のある商店街が良いです
今回の震災がいかされなかったら嫌です

 いかがですか。内容的にはいくつか重複したりしていますが、ワークショップに参加した市民の「思い」がダイレクトに伝わってきませんか。行政が作る計画とはひと味もふた味も違います。この思いを実現していくのが、石巻の市民と行政のこれからの仕事です。ひとつでもふたつでもいいですから、具体的な形となっていくことを祈り、期待し、そして支援したいです。
 8月には提案作りに参加した中高生たち六人が神戸に来て、阪神淡路大震災の時に中高生だった市民や現役の中高生たちと交流します。彼・彼女たちが石巻の未来を築いてくれることを切に願っています。
(2枚の写真は石巻復興支援ネットワークの事務所の壁に貼られているものです。写っているのは、石巻の中高生が事務所を訪れた人に手作りのミサンガを巻いている様子です。私の写真もあります。)
(2011.8月発行)