■百円商店街  (NO.34)

『新庄話題鍋』のホームページより
 100円ショップならぬ、100円商店街が注目されています。生まれは山形県の新庄市。中小企業庁が発刊した『がんばる商店街77選』にも選ばれた新庄南北本町商店街の「アイデアから運用まで、100%住民の手によるオリジナル事業」です。
 それぞれのお店で100円の商品を並べ、商店街全体を100円ショップにしてしまうのです。もちろん、すべての商品が100円になるわけではありませんが、商店街に100円商品がズラッと並んでいる風景はちょっとしたものでしょう。
 ちょっと前に商店街活性化の方法として考えられた「一店逸品」運動というのがありました。現在も続けられていますが、それぞれのお店の自慢できる一品を「逸品」として店頭に並べ、商店街の特色を創り出すのです。自慢の商品がなければ新に開発したり、見つけてきたりするわけですね。そのうち、おもしろい商品や話題性のある商品を商店街単位で開発しようという「商店街逸品」運動も、そこから生まれました。そして、それは商店街ブランドとして今に至っています。
 有名なのは東京の戸越銀座商店街です。今では「とごしぎんざブランド」として何十種類もの商品を売り出しています。地域ブランド創出の先駆けがこの商店街逸品運動だと言えるでしょう。
 100円商店街もこの一店逸品と同じ種類の活性化のひとつです。一店逸品の時には、すべてのお店が逸品を出すのは難しかったりするのですが、100円商店街だと商品でもサービスでも可能ですし、何よりもお客さんに喜んでもらえます。もちろん、最近の消費者は目が肥えていますから、単に安かろうでは来てくれません。100円で何倍もの価値があるものを提供しなければなりません。そこが商店主の腕のみせどころです。
 さらにちょっとした工夫も必要です。レジは店頭ではなくお店の中でする。店内の商品を見やすく配置する。普段より商品の取り揃えを充実させる、などなど。そうです、100円商品はあくまで商店街に足を運んでもらう手段で、お客さんには「ついでに」いろんな商品を買ってもらったり、商品の取り揃えを見てもらって普段の買い物に繋げることが肝腎なのです。100円商品はお客、とくにバーゲンセールが大好きな主婦層を引きつけるための「目玉商品」なのです。
 2004年の7月に始まったこの100円商店街は全国で実施されるようになり、今年の4月には、ダイエー発祥の地として知られる千林商店街でも行われました(大阪商工会議所との共同企画)。月56,000円の家賃が最初の1か月だけ100円になったり、通常1,000年の小学生男児のカットが100円だったりと大判振る舞いで、大盛況だったそうです。5月以降大阪府下のいくつもの商店街で、これにならえと実施されることになっています。
 消費者は目新しいものにはすぐ飛びつきますが、飽きるのもまた早いです。100円商店街がいろいろな販促活動やイベントと組み合わせながら、お客を引きつける活動を今後も展開して欲しいものです。
(2010.6月発行)