■がんばる本屋さん。応援しましょう!!  (NO.31)

がんばる本屋さん
 前回のコラムでは、商店街の本屋さんが少なくなりつつある、中心市街地では大規模書店が増えているという話を書きましたが、その原稿を書き終えた後で、米国では大規模書店が危機に!というニュースが新聞などで載っていました。その原因は、デジタル化された電子ブックの売り上げが急増しているからとのことでした。
 電子ブックというのは、インターネット上の書店からダウンロードして、専用の電子ブックリーダーで読むというものです。この電子ブックリーダーの市場に複数のメーカーが参入してきており、電子ブックの需要が益々大きくなるだろうと予想されています。
 また、専用のソフトさえあれば、まだ一部の機種ですが、携帯電話でも電子ブックを読めるようになってきていて、専用のリーダーも要らないぐらいになってきています。日本での電子ブックの普及はまだまだですが、その内携帯電話で音楽を聴きながら、携帯電話で本を読むという情景が当たり前になっているかもしれません。デジタル社会恐るべし、です。
 とはいうものの、活字本が消えてなくなることはないでしょう。電子ブックの利便性がその携帯性(容量が許す限り何冊でも入ります)にあるとしたら、活字本の優位性はその参照性にあります。何冊もの本を同時に開いて調べたり、1冊の本で違うページを読み比べるなんていうことは、電子ブックではできません。それぞれのメリットを生かしながら使い分けるというのが、これからの賢い読者ということになるのでしょう。
 それでも本は活字で読みたい。そういう人はまだまだ多いです。私なんかもそうです。本屋に行っておもしろそうなものを探し回り、手にとって中身をちょっと読んで、これだ!というのをレジに持って行く。その楽しみはインターネットでは味わえません。さらに、表紙の装幀や厚み・大きさ、またインクの臭いといった、いわば本の持つ物性というか立体感というか、そんなものは電子ブックにはありません。本棚に自分の好きな本が並んでいくという喜びは本好きにはたまりません。
 商店街にはそんな本好きの店主がやっている本屋さんが残っています。前回は紹介できませんでしたが、大規模書店に負けないように、そして地域から活字文化を消さないようにがんばっている本屋さんもまだまだ多いのです。単に本を種類別やジャンル別に並べるのではなく、独自の切り口で本を紹介したり、例えば最近だと話題になっている坂本龍馬に関連するコーナーを作ったり、お店のオリジナルの書評や読書案内をお客さんに配ったり、お客の気持ちをくすぐるような仕掛けを工夫しています。また、同じ志を持った店主がグループを作って、情報の交換から単独では難しい本の仕入れを実現したりしています。
 思わず応援したくなるお店とは、売っている商品への「愛情」が感じられるお店です。こんな本屋さんだと毎日行きたくなりませんか?もっとみんなで応援しましょう!!。
(画像は『カワテツの「出版プロモーションの裏側、全部見せます」』ブログより)
(2010.3月発行)