■新しい本を出しました  (NO.21)
 今回は私の本の紹介をさせてください。3年前に『都市商業とまちづくり』という本を出しました。1998年に作られた中心市街地活性化法のもとでの、商店街の活性化と市街地の再生の方法や方向についての実践書です。現場で活躍する13人で書きました。
 ところが、2006年に中心市街地活性化法が改正されたので、書いてあることと現実が合わなくなりました。時代のスピードが速いので、出版物にはよくあることです。情報は生ものですから陳腐化は普通ですが、知識もすぐに陳腐化するという、ある意味では恐ろしい時代です。ネットでのリアルタイムでの情報交換が当たり前の時代でもあるわけですね。
 で、今回、中身を一新して本を出すことになったのです。タイトルは『都市と商業』。副題に「中心市街地再生の新たな手法」と付けました。最初の案は『都市商業とまちづくり2』だったのですが、「2」の意味が伝わらないかもということで、校正段階で急遽変更したのです。今回の執筆者は、若干の変更があって10人になりました。大学の先生がちょっと増えて4人、タウンマネージャーで商業コンサルタントが4人、SCマネージャーが1人、観光コンサルタントが1人という布陣です。
 改正中心市街地活性化法の中身については、何度かこのコラムでも取り上げましたが、改正によってまちづくりの枠組みが大きく変わったということではありません。ただ、地域との連携がより重視されて、産官民一体のまちづくりにしか補助金がもらえないような仕組みになりました。補助金だけに頼らないまちづくりがこれからの課題であることは間違いありませんが、現状でそれを訴えるだけではまちづくりは進展しませんから、なんとか補助金を取れるような組織と事業の構築が求められています。
 中心市街地の再生のための具体的な事業は当然地域によって異なりますが、交通問題、地域ブランドの確立、ITの活用、再開発ビルの再再開発など、共通する問題もたくさんあります。また、地域を構成している人々や組織やグループも多様になってきている昨今ですから、まちづくりの主体を誰あるいはどこが担うのかも重要な問題です。もちろん、商店街の活性化の話も避けて通ることはできません。そんなこれからのまちづくりに欠かせない課題解決について、分かりやすく(のつもりですが)解説しています。
 現場でちょっと迷ったり、なにかアドバイスみたいなものが欲しい時は、ぜひこの本を手にとってください。決して、買ってくださいとは申しません。(大学の講義で教科書に使うのである程度は売れますので……)ただ、本屋で見つけたら、中をパラパラとめくっていただけるだけで十分です。税務経理協会からこの4月に出ました。ちなみに定価は税別2,400円です。
(2009.5月発行)