■「阪神御影商店会」(東灘区) (NO.96)
 阪神御影駅北側から2号線までをつなぐ「御影坂」に面した店舗を中心に、44店舗が加盟している商店会。灘五郷として名高い蔵元や、全国的に有名な洋菓子店やパン店の本店もある御影のまち。上品でおしゃれなイメージは現在でも健在だが、時代の移り変わりとともに商業環境は厳しくなり、商店主の高齢化と組織の硬直化が、阪神御影商店会の課題となっていた。
▼市の支援制度を初めて活用
 平成26年3月のある日、森岡伸治さん(商店会 企画担当役員)が、父親である森岡会長の元に届いた神戸市の商店街支援制度の資料を見つけた。「初めて市の補助制度を知った。これを活用して商店会を活性化したい」と思い立った森岡さんは、商店会の役員会に議案を提出。しかし理解が得られずあえなく断念。そこで「応援隊」派遣事業へ申請を提案。役員会の了承を得、神戸市からも派遣団体として採択された。
▼「御影おもてなしバル」の開催
 応援隊のサポートを受けて1年後、平成27年に若手商業者が中心になり取り組んだのがバルの開催。
※バルはエリア内にある飲食店を食べ飲み歩くイベント。
 阪神御影駅北側にある約100店舗(商店会加盟・非加盟問わず)の飲食店に参加への声掛けを行った。参加店舗は予想していた20店舗を上回る40店舗。各店を周ったのは小林泰造さんと、飲食店を経営する森修一さん。「これまでこのエリアの飲食店はライバル関係にあったが、バル開催をきっかけに仲間意識が生まれた」と森さんは効果を実感している。
 バルの開催が、商店会として何を目指すかを示す指針となり、準備段階で4店舗が商店会加盟を決めた。実行メンバーの思いが商店主たちの心を動かし、一体感が生まれるきっかけとなった。 
 インターネット等を活用した告知方法が功を奏して、前売券は見事に完売。そして迎えた当日【1月29日(金)と30日(土)】。「バルMAPを手にしたお客さん達で街があふれかえった。こんな景色を初めて見た」地元で生まれ育った畑典秀(商店会監査)さんは感激したという。
 「一時は、運営資金は私が自己負担で捻出するしかないと覚悟したが、応援隊や市・県のサポートを受けて実施することができた。地元住民はイベントを求めているということも実感できた」と森岡さん。バルの盛況を目の当たりにした商店会役員の皆さんからも評価を得て、森岡さんは「にぎわいを取り戻してまちを盛り上げていきたい」と新たな挑戦への決意を新たにしたという。
 御影駅南側の商店会や駅前の市場「旨水館」、商業ビル「御影クラッセ」などとも連携して、地域全体で盛り上がっていくことが今後の目標。第2回御影おもてなしバル
【11月11日(金)〜11月13日(日)】の実施日程も決定している。
▼今後の予定
 商店会として次に挑戦するのは、「バナー展覧会」、「スタンプラリー」、「クリスマスイベント」だ。
 10月に開催される「バナー展覧会」は、東灘区の公立中学校7校の美術部の生徒が作成したイラストを展示して、一般投票を実施する。最優秀賞を受賞した作品は、商店会の公式バナー(のぼり ※画像参照)となって1年間、街路に飾られるため、各中学校の美術部は真剣に応募作品製作に力を入れているそうだ。
 その他のイベントも着実に準備が進められている。「商業者たちがみんなで楽しみながら仲間を増やして、商店会組織を盛り上げていきたい」と森岡さんの夢は広がっている。
(2016.8月発行)