■「三宮センター街 一丁目商店街(振)」(中央区)
(NO.79)
三宮センター街1丁目商店街
道路幅が11メートルと広く、高い位置に備えられたアーケードからは自然光が入り、非常に開放感がある。現在空き店舗はなく、集客力が高く活気にあふれ、神戸を代表する商店街である。
「業種・業態を問わず、プライス訴求ではなく高いレベルの個性的な店舗に入って欲しい。」と松谷齊泰理事長。出店店舗を決定する際、店舗・家主・振興組合の代表者による三者面談が行われる。店舗の外観、店前へのはみ出しなど、図面を見ながら確認する。そして『三宮センター街神戸メインストリート憲章』(センター街の景観を維持していくための自主規制)の内容を、店舗と家主双方に納得してもらった上で、出店していただくこととする。「広く美しい通路は商店街の資産。これを維持することが店舗の魅力にもつながる。」と松谷理事長は意図を話す。
近隣団体との連携と若手育成
商店街で開催される大きなイベントの一つが、ファッションショー「三宮コレクション」。毎回多くの来街者で賑わうこのイベントは、近隣の商店街や百貨店と連携して準備が進められる。この他、スマートフォンを活用し、三宮から六甲まで神戸を広くエリアとする街歩きイベント「神戸ぐるっと廻ってポン!?」など、いずれも他団体との合同開催だ。「センター街や三宮地区で連携したイベントを開催したい。それぞれの力を合わせれば、より大きなものが生み出せる。一丁目単独ではなく、神戸全体を盛り上げたい。」と松谷理事長は神戸活性化への思いを語る。
振興組合によって昔から大事に守られているのが、お地蔵さん。地蔵盆には、子どもへのお菓子のプレゼントや、似顔絵を描くサービスが用意される。これらの企画は、若手商業者が中心となり、情報共有やイベント企画を行うBOS会議にて決められる。「数代前から、組織づくりと、若者たちに商店街組織へ参加してもらい育成する取り組みが進められている。」と松谷理事長。
大学との連携
センター街美化維持のために活躍しているのが、美化エンジェル(大学生を主としたボランティア)。月に1回、町の人と協力して掃除している。
神戸大学と連携し進められているのは、「センター街5か年計画」。通行客は多いが通路化している一面もあるため、来街者に滞留してもらうための憩いのスペースを作る計画などがあり、駅からつながる通行デッキの有効活用が検討されている。これらの課題について考える会議に有識者が参加し、意見交換が行われている。
センター街の個性を
「震災でアーケードが壊れてしまい、なんとかしなければ!と考えたあの時の気持ちが、現在の商店街活動へのエネルギーになっている。都市間競争が激しい中、海と山に近いこのセンター街の環境と魅力をアピールし、各店が神戸らしい商品を販売していくような取り組みを進めたい。」と松谷理事長は今後の展望を語る。
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光を運ぶ船 BOS進水式
アーケード内にある大型映像情報設備BOS(Blue Ocean Station)。日中に画面を見やすくするための遮光設備(その構造などから船となぞらえて)の進水式が3月23日(土)正午から行われる。(株)高橋工業(宮城県気仙沼市)で製作していて完成間近だったものが、一昨年の東日本大震災による津波で全て流失してしまったという。再び作り直したものがこのたび完成し、お目見えする。当日は恒例のファッションショー「三宮コレクション」も開催されるので、多くの方に是非見ていただきたい。
(2013.2月発行)