■「大正筋商店街(振)」〈後編〉(長田区) (NO.73-2)

▲「こども祭り」 廃油でエコキャンドル作り

「こども祭り」 木工教室
 先月に引き続き、大正筋商店街 伊東理事長からのお話をお伝えする。
 大正筋商店街は、イベント実施において大学生との交流を積極的に行っている。きっかけは大正筋商店街が復活してからだそうで、大学側から申し出があり、関わってもらっているとのことだ。
 大学生を単に手伝いのボランティアとして扱うことはせず、楽しんで参加してもらえる工夫をしている。その一つが経営指導である。「損益分岐点」などの用語や「団体の束ね方」を教えたりしている。大学生を複数の班に分け、責任者を決めさせ、班ごとに競わせる。そして一位の班にはご褒美、最下位には掃除などの罰ゲームを設定し、参加した大学生みなを楽しませている。充実した時間を商店街で過ごすことができ大学生から好評だそうだ。
 商店主は商店街の顔であり、そのまちで最初に会った人に優しくされたら、そのまちが好きになる。大学生との交流は、まちのファンづくりでもあると理事長は言う。
 イベントは、経験と知恵をもったベテランがノウハウを若者に伝える場だと理事長は言う。コミュニティの場を作り、地元の人がお互いの顔を知ることで安全・安心なまちづくりができる。イベント開催の頻度は商店主に負担がかからないよう、2か月に一度とし、無理の無い頻度で実施されているのも工夫の一つだ。
 伊東理事長に震災からの復興についてもお話を伺った。「商店街はまちの中に必ずないといけないものだ。被災後、仮設店舗をオープンすればそこに雇用が生まれ、生活保護受給者は減る。そして仮設店舗の商店主と被災した住民がつながり、励まし合える。それはまちの再生につながり、住民は「このまちに戻りたい」という気持ちになる。そのためにも、国の震災復興支援は、商業支援にも力を入れて欲しい。」伊東理事長は自身の経験を伝えるため、宮城県南三陸町を何度も訪れて現地の商業者を支援している。
 伊東理事長は今後の抱負として「商店街のみながそれぞれの役割や任務を整理し、見直したい。自分がやるべきことを自分で考え動ける体制を整えたい。その動きを周りがサポートし協力するという形を目指したい。無理はせず、できる範囲のことをすることで、『経験』ができる。そうして前進することが重要だ。」と語った。
(2012.6月発行)