■夢野商店街 新湊川商店街 (兵庫区)
(NO.59)
夢野商店街
神戸市営地下鉄湊川公園駅・神戸電鉄湊川駅を出て、兵庫区役所横の坂道を登っていく。夢野地区の住宅地を十字に交差するように、夢野商店街は広がっている。
昭和27年ごろ商店が集積し始め、28年に前身の「夢野商店街連盟」が結成された。東西で約350m、南北に約400mと東西南北に広がっている。
地元の顧客に支えられてきた同商店街だが、後継者難を始め取り巻く商環境は厳しい。震災前に夢野市場が閉鎖され、近隣にスーパーが林立。商店街の店舗も減少し続け、商店街内に一般の住居が増加した。お客の足を夢野地区の留めることができない悩みがある。
夢野商店街のシンボルとして親しまれたアーチは、維持費等の諸問題で撤去を余議なくされたが、地域住民からの防犯上の要望を受け、60の街路灯が現在も地域の安全に寄与している。夢野地区において、群を抜いた明るさだ。
「防犯や、街を明るくすることに力をいれていきたい。単なる住宅街にならないためにも、灯を消すわけにはいかない」と話すのは、夢野商店街協同組合の谷河光紘理事長。「電気代の集金が大変」と苦笑する。
夢野地区のシンボルは、地元の人から「熊野の権現さん」と親しまれている「熊野神社」。春と秋の祭りはノボリや横断幕がはためき、商店街一帯も大いに賑わう。
現在も好評を得て継続実施されているのが「ドンドン・サービス」だ。お買い上げ200円でシール1枚、50枚たまれば100円の買い物券か商品を選べるサービスで、期限は授けていない。
「以前のように商業者が育ってほしい」と谷河理事長は今後に期待する。
夢野商店街から南東に歩いて5分ほどで、新湊川商店街に着く。南北に震災後に建て替えたアーチがかかり、S字型に蛇行した全長約200mの商店街だ。
新湊川商店街
昭和42年の大水害、平成7年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた同商店街は、災害を経るたびに新住宅が増えてきた。現在は17店舗が営業中で、店主及び顧客の高齢化が進む。
夢野・新湊川両地区は少子化も著しく、4小学校が一校に統合された。神輿を担ぐ子どもも少なくなったようだ。
「活気や防犯の面からも、商店街は明るさを心がけている」と話すのは新湊川商店街の岡健市会長。24の街路灯は夜9時半まで点灯され、同様に多くの店舗が夜九時半まで営業している。地域から親しまれている銭湯は終夜営業だ。
新湊川を挟み、すぐ南には神戸の台所と称される東山商店街がある。「東山のサブ的な機能が特徴」と岡会長は話すものの、「年配のお客をターゲットに頑張ってしていくしかない。ますます進む少子高齢化に対応していくためにも、電話配達サービスの強化など、集客ではなくこちらから出向くことも考えなければならない」と岡会長は周辺商店街との差別化を模索する。
湊川という一大商業地域の北部に位置し、新湊川で分断されがちな地域環境に置かれているが、住宅地の中でキラリと光る商店街として、夢野と新湊川は顧客にとってなくてはならない生活密着型の商店街だ。
(2010.9月発行)