■三宮本通商店街 三宮本通り・京町筋商店街(中央区)
(NO.50)
三宮本通商店街
神戸のメインロード・三宮センター街の南側に並行し、フラワーロードからトアロードまで三ブロックにわたる三宮本通商店街。10代から20代で賑わうセンター街と比較し、ぐっと大人びた雰囲気が漂っている。
同地域は、明治末期より商店が集積し始めた。戦後間もない昭和23年、「三宮本通商店会」として正式に発足。昭和30年に照明灯、昭和41年にアーケードを設置するなど、来街者の利便性向上に努めてきた。
震災を乗り越えてアーケードの再整備やカラー舗装化を実現。「震災前より、今の方が来街者が多いように感じる」と、同商店街振興組合の糸数嘉章理事長は手ごたえを感じている。振興組合を形成しているのは、生田筋からトアロードまでの1ブロックで、約55店舗が軒を連ね、特に休日は大いに賑わっている。全国的に商店街は飲食・サービス業が増加傾向だが、同商店街は飲食店舗より服飾雑貨店が増えてきたそうだ。しかし、市内全域で猛威をふるった新型インフルエンザの 風評被害 で、同商店街も一時期通行量が激減した。
順風満帆に見える三宮本通だが、西宮ガーデンズ、ココエあまがさき、梅田の百貨店増床など、相次ぐ駅前ショッピングセンターの開業に、糸数理事長は危機感を強める。差別化を図るためにも「落ち着いた大人の商店街として、大型店と同じテナントでなく、個性的な専門店を増やしていきたい」と理事長の方向性は明快だ。
同商店街は月1回、組合員自らが商店街のクリーン作戦に勤しみ、周辺商店街の参加も拡大している。本通の南には素敵な路地裏に飲食店が集積し、上質の雰囲気が漂っている。
三宮本通商店街と京町筋で交わる、南北に延びる京町筋商店街は、ユニクロ、ZARAなど神戸屈指のファッション集積ゾーンだ。女性客やカップルが多く、客足が途切れることがない。物販店と飲食店がバランスよく混在している。
アーケード等震災復興のハード事業を進めるために、平成10年、協同組合として法人化した。
震災前はダイエー系列のショッピングセンターが集積する、いわゆる「ダイエー村」として親しまれてきた。賑わいは変わらないが、以前と比較して客層は若返ったそうだ。
「似たような商売ばかりにならず、魅力あふれる個性的な専門店が増えてほしい」と話すのは、三宮本通り・京町筋商店街協同組合の小林利明副理事長。三宮本通の糸数理事長と思いは同じだ。
地蔵盆時の京町筋商店街
京町筋界隈のユニークなイベントは、毎年8月23日から2日間開催する『地蔵盆』。アーケードに提灯が連なっている。神戸の下町ではおなじみの祭事だが、超広域型商業地域では極めて珍しい。周辺商店街からの寄付もあり、三宮商業地域全体で大切に継続している。以前は併催していた盆踊りを復活させたい意向を持つ小林副理事長。祭りは、街の親睦や交流を図る潤滑油でもある。
三宮の商業団体は交流が活発だ。『KOBE三宮・ひと街創り協議会』を結成するなど、ユニークな活動を展開している。地元生え抜きの商人が、まだまだ頑張っている。
両商店街は隣接しているが、雰囲気が異なる。三宮の商店街、商業ビルはそれぞれ個性的だ。「1つの商店街だけで完結せず、三宮地区全体を回遊する、歩くだけでも楽しいと思われる街になれば」と京町筋の小林副理事長。大都市の中心部に位置する商業地域には珍しい商人たちの密接な連携が、1番の強みかもしれない。
(2009.12月発行)