■モザイク(中央区)(NO.46)
 『恋人の聖地』として平成19年、NPO地域活性化支援センターより認定された神戸 ハーバーランド内に位置するモザイクでは、神戸市商店街等地域力アップ事業を活用し、 ”恋人の聖地”活性化計画を今年度よりスタートさせた。毎月実施されるカップルウィー ク(カップルご優待)、ラブラブフォトメールコンテスト、モザイク内各所の「愛のモニ ュメント」を巡るスタンプラリー、観覧車乗車前に”CHU”すれば無料ご乗車OKなど 、様々な楽しいイベントが企画されている。プロポーズのメッカとしても広く発信してい く「モザイク」は、海を見ながら食事やショッピングを楽しめ、映画や遊園地など娯楽施 設も充実した開放感あふれるオープンモールとして、平成4年に開業した。
 ネーミングは、モザイク模様の「モザイク」が、様々な色彩の素材の小片を組み合わせ て一つの図案をつくる様に、異なる文化を持つお店、施設、人などがそれぞれ融合しあい 、一つの魅力的な街になるようにという願いが込められている。その名の通り、延べ床面 積25,000m2(遊園地地除く)内に世界の各国料理店、神戸みやげ、ファッション、雑貨 、映画館など計約90店舗という多様な構成だ。
 平成7年の大震災では、全体的に被害が少なく、早期に営業を再開。カップルだけでな く、ベビーカーを押すニューファミリー、外国人観光客もあふれる神戸屈指の観光地とし ても成長。車でのアクセスや駐車が容易と、主婦層にも好評だ。
 対岸にポートタワーやメリケンパークを望み、コンチェルトの発着場も近接する素晴ら しいロケーションは、潮風を感じながら散策が楽しめ、ドラマや雑誌等の撮影も多い。オ ープンモールのため雨には弱いが、夏は緑が映え、ストリートファニチャーも凝っており 、充実した四季の移ろいが心地よく堪能できる。今年の6月に施設内の水路べりにカルガ モのひなが誕生したことは大きな話題になり、来場者をなごませている。

七夕ハーモニーライブ
 順風満帆に見えるモザイクだが、ハーバーランド地区を取り巻く商環境は厳しい。「地 区内の大型商業施設の入れ替わりが激しく、継続的な集客戦略が課題で、モザイクを含む ハーバーランド地区全体で考えなければならない」とモザイク商店会の東中弘吉会長は危 惧する。
 一般の商店街と異なり、モザイクは5月・8月と12月の売上が好調で、観光地として 浸透している。ゴールデンウィークのETC1,000円キャンペーンでは、中国・四国地方からも来場者が押し寄せた。一方、5月中旬以降の新型インフルエンザがモザイクを直撃。外国人を含む団体旅行のキャンセル客が続出し、多い日は1日20台から30台押し寄せる観光バスも激減した。影響は、現在も若干残っているという。
 三宮とは商圏がそれほど競合しないモザイクだが、前述のカップルイベントだけでなく 、年間100日程度イベントを開催し、集客戦略に余念がない。大道芸人コンテスト、ジャズフェスティバル、ハロウィン仮装コンテスト、サンタパレードなど季節感あふれるイベントは、すっかり定着した。「お客様参加型のイベントをもっと増やしていきたい」(東中会長)と、来場者と施設が一体となった楽しい催しに期待も膨らむ。
 昨年秋より運航している無料お買い物バスは、従来の三宮・大倉山ルートに加え、7月 から鈴蘭台ルートもスタートし、より広域からの集客が可能となった。「水族館など、海 をイメージする施設ができれば」と東中会長は、ハーバーランド全体を含めた活性化戦略 にも想いを馳せる。
 モザイクが誕生し、もうすぐ20年を迎える。神戸といえばモザイク、と浸透も深まっ てきた。古びず、歴史を深める。ヨーロッパの雰囲気が、日本で最も満喫できる商業施設 だろう。
(2009.8月発行)