■メトロこうべ(中央区)
(NO.37)
カンカンカン♪。乾いた軽快なピン球の音が反響する。2008年9月1日に開業40周年を迎えた「メトロこうべ」独特の音色だ。40周年を祝い、1ヵ月間セールや抽選会を開催。メインの日にはフラダンス、ステージ、フリーマーケット、縁日などで大いに賑わった。
神戸タワーが撤去され、新開地商店街にアーケードが架かり、神戸高速鉄道が開業するなど大きな商環境の変化があった1968年に誕生。飲食街が中心の新開地駅に隣接している「新開地タウン」、物販中心で高速神戸駅に隣接する「神戸タウン」の2極に分かれ、その間に古書籍街、卓球場、星の広場、ゲームセンターがある。
10周年には「あじさいの泉」、20周年には「星の広場」がそれぞれ新設され、発展してきた。メトロこうべの大きな特色でもある古書籍街は、1981年に1号店がオープン。好評を博したため、2店舗追加し、本格的な古書籍街となった。
1970年代にピークを迎え、震災時は一部補修で乗り切ることができ、1ヵ月程度で営業を再開した。現在は1日7,000人程度の通行客で落ち着いている。
神戸高速、神鉄、阪神、阪急、山陽、JR、地下鉄海岸線…市内屈指の交通の要地であり、兵庫区・中央区・北区のお客のみならず、新開地商店街やハーバーランドも近接するため、商圏も広い。行きかうお客は中高年が中心だが、どこか「プロっぽさ」を感じさせる。歓楽街の文化が漂っており、ハーバーランド地区とは住み分けができているようだ。
昨今の不況は新開地全体に大きな影響を与え、閑散とした時間帯がある。
「とにかく空店舗を埋めたい。マスコミに取り上げられるような特徴ある商品を売ることが大切」と話すのは同名店会の安藝止男会長。「管理会社と名店会は二人三脚。テナントミックスでバリエーションを増やしたい」と同施設を管理する神戸高速興業(株)津島友和業務課長は足並みを揃える。現在は54店舗が営業しており、管理会社と名店会が一体となって地道な活動に取り組んでいるため、空店舗への出店希望者も増えつつある。
メトロこうべ40周年感謝祭
高速神戸駅から、神戸タウンに向かう。明るくまぶしい地下街の両側は、服飾品、靴、雑貨、飲食店舗が立ち並ぶ。買い物を楽しみ、目移りしながら歩いていくと、格安の理髪店や卓球専門ショップを発見。様々な業種が懐の深さを感じさせる。
ほどなく、古書籍の森に迷い込む。3冊200円の文庫本セールのみならず、稀覯本まで幅広く揃い、1日居ても飽きることがない。古書籍を買い込んだ後は、卓球場で汗を流すも良し(ママさん卓球が大人気)、プレイランドで1回50円というビデオゲームを懐かしむも良し。
市内大学生たちの描いた巨大壁画を眺めながら星の広場を通り抜けると、新開地タウンに到着。一大飲食ゾーンが両側に広がる。購入した古本をパラパラしながら喫茶店で香り高い珈琲を楽しむか、喉の渇きを生ビールで潤すか迷うところだ。
地上に上がらず、そのまま新開地駅から帰宅する。雨にぬれず、メトロならぬレトロを大満喫できる800mは、至福の一時が約束されている。
(2008.10月発行)