■平野商店街(兵庫区)
(NO.3)
平野商店街
有馬街道の入口付近、祇園神社も近くのバス道沿いのT字路に、鮮やかな緑のアーケードが目印の平野商店街が眼前に広がる。昔は市電の始終点であり乗降客で溢れていたそうだ。
昭和23年に前身の「平野商店会」が発足。中小企業組合関連法令に基づく商店街組合振興法制定をきっかけに、昭和38年「平野商店街振興組合」を結成。昨年で40周年を迎えた。
平野商店街のスローガンは「やさしいまち平野」。商店街の至る所にこの標語が目に入る。戦前からの地元客が多く、客層の高齢化の著しい。ゆえに個々のお店が「やさしい」サービスに力を入れている。他店で購入した商品も一緒に配達したり、万が一お客に何かが起きても必ずその家族に連絡をつけるそうだ。ゆえにお客様から様々なモノを差し入れしていただくことも多いという。昭和40年に完成した駐車場も商店街で運営し、買い物客の利便性を追及している。
ソフト面でのサービス強化は平野商店街の魅力である。その代表格が平成8年から実施しているポイントカードシステムだ。「ひらのカードクラブ」を結成し運営をスタート。100円で1ポイントがつき、600ポイントで満点。提供商品も多様で、お店では1,000円以上買物ができる。しかも日新信用金庫では1,000円として預金も可能だ。カタログから商品を選ぶこともでき、市バス券やテレホンカード、有名店のお食事券などにも交換できる。売出し期間は2倍3倍とポイントが付加される。その成果もあり、ポイントの還元率は8割を超えている。
平野商店街ポイントカード
上(表)下(裏)
今後の課題は「年齢層の若いお客に商店街へ足を運んでもらうこと」(平野商店街関係者)だ。毎年7月13日から8日間開催される祇園祭りに連動して「平野ゆかた祭り」を開催。プロカメラマンによりコンテストは、大勢の参加者を集める人気ぶりだ。
「各店同業者には負けない、粘り強い店作りが必要。お客様に対してどのように接するか、基本的な商売の鉄則をしっかりと築いていかねばならない。イベントやサービスなどを実施するたびに効果があり、常に存在感を示すことが必要。これからも商店街で力を合わせて、何事にも取り組んでいきたい」と糸井正臣理事長は話す。
歴史ある古きよき商店街をアピールし、ソフト面で対応できることを形にすること。地域密着型のサービスを展開する平野商店街の挑戦はまだまだ続く。
(2004.10月発行)