■「生田前筋商店街(振)」(中央区) (NO.93)
 生田神社から南へ450mほど伸びる商店街。神社の参道であったこの通りには、かつては美しい桜並木が続いていたそうだ。
 現在は、JRの高架より山側は飲食店や神戸スイーツの店が立ち並び、浜側には物販店や銀行というように、エリアごとに各業種が固まっているのが特徴となっている。
〜商店街が一丸となって〜
 飲み屋などの夜型の店が多い山側では主にキャッチセールスによる被害、物販店の多い浜側では万引きや自転車の迷惑駐輪等が問題になっている。これらの解決には振興組合としての団結が不可欠。商売を維持し商店街をより活性化するために、組合員皆で協力して治安維持管理に努めている。
 新たなテナント誘致の際には、契約書書面にて、地域の風紀を守る協力をお願いするなどの工夫をしている。
 また、商店街の美化維持のために、婦人部による清掃が月に2回実施されている。婦人部の皆さんは、清掃はもちろん店舗同士の情報交換など、コミュニケーションの面でも大いに商店街に貢献している。
〜神戸らしい店・商店街づくり〜
 同商店街の理事長は、冨士鞄店5代目店主の溝口正人さん。「山と海、そしてすぐ近くに観光地があり、買い物も食事もしやすいこんな街はほかに無い。親しみやすくハイカラな空気を今も残しているのが神戸のまちの魅力」と神戸への愛着心を語る。
 「神戸らしい個性を持った店づくりを商店街全体で取り組んでいる。MADE IN JAPANの高い品質とオリジナリティーに溢れる、“一店逸品”は、国内外からのお客様へ大きなアピールポイントになる。また、チェーン店には限定商品の販売をお願いしている」。溝口理事長が目指すものは、ここにしかないものを売る商店街。
 魅力ある個店の集合がまちの活性化につながるという考えから、理事長の店舗の向かいに同業種のカバン店が出店することを快諾。「同じカバンでも対象客層が違う商品があると、この商店街の魅力が高まるから」と視野が広く、柔軟な視点で商店街の活性化を考えておられる。
〜神戸スイーツのまちに〜
 山側の飲食店が並ぶエリアに神戸の洋菓子店を今よりも多く集積させた『スイーツ通り』計画が進行中。日本人はもちろん外国人観光客にも神戸スイーツ目当ての来街客が多いため、数年後には、世界中のスイーツファンが訪れる楽しい商店街になることを目指している。
(2015.1月発行)