■「神戸住吉ありまみち商店街(有馬道商店会)」(東灘区) (NO.94)

電柱を飾る商店街の「のぼり」
 JRと六甲ライナーが乗り入れる住吉駅前の商店街。63年の長い歴史を持っており、名前の通り、かつては有馬に向かう人たちが通った道に沿って店々が並んでいる。駅の近くには本住吉神社、山側に上がると香雪美術館、学校もあり、「住みたい街」として最近人気の地区だ。
▼商店街の衰退
 社会情勢の変化や、震災後に建ったマンションの新住民が個店での買い物に不慣れなこともあって、商店街が次第に衰退してきていた。そんな中、山岸捷一会長が就任したことをきっかけに、組織の活性化に着手。「地域と商店街の活性化」「若手商業者の育成」を目標に掲げて取り組みが始められた。
▼市のサポートを受けて
 大きな転機は昨年。山岸会長は、神戸市商業流通担当部長( 当時)に商店街の抱える問題について相談をした。東灘区担当係長とともにどうしていくかを一緒に考えていく中で、「応援隊」事業に応募。当商店街への派遣が決まり、支援を受けることができた。そして国のにぎわい補助金を得て、新たな挑戦に取り組む準備が整った。

こだわりの商品を扱う店が並ぶ
▼スタンプラリーの挑戦と成功
 商店街の活性化イベントとして、若手女性商業者の1人から提案されたのが、「スタンプラリー」。異なる店舗のスタンプを3個集めると1回抽選ができるという内容。スタンプの付与条件は店によって様々で、商品1点購入、店内商品のお試し、無料健康チェック受診、等々。約2週間の開催期間に800回の抽選が行われ、店舗回遊と新規客獲得促進の成果が得られた。また、各店がスタンプ押印の条件を創意工夫したことで、個店の魅力向上にもつながった。
 最終日にはワークショップイベントを併催。レゴブロックで未来の有馬道商店街を作るコーナーは、子ども達だけでなく幅広い客層を集客し、大盛況となった。
 「久しぶりに商店街が活気づいた」と嬉しい感想が寄せられた。参加店舗にも手応えがあったようで、イベント実施後に商店会加盟店舗は10軒増加。現在35軒になっている。
 スタンプラリー成功の経験が自信となり、より魅力ある店づくりを引き続き進めていこうという機運が高まっている。今年度もスタンプラリーを開催する他、(株)全国商店街支援センターの「繁盛店支援事業」の応募準備も進められている。【注】

昨年のスタンプラリー最終日に開催された「レゴ」の
イベント盛況の様子
▼情報発信
 若手商業者たちが、商店街イベントの企画やインターネットでの情報発信、ポスターやチラシのデザイン作成を分担して進めている。
 現在、商店街ホームページと、個店情報を掲載して毎月発行する「かわら版」を準備中(初号は夏予定)。店舗同士の情報共有ツールとしての活用が期待される。
▼今後の方向性
 「若手育成を継続していき、個店間のつながりを深めていけば、商店街は、きっと、もっと変わることができる」との決意を胸に、山岸会長は日々の活動に取り組んでいる。
 自店の業務で忙しい合間を縫って、商店街活動に協力している若手商業者たちの存在が、この商店街の明るい未来の可能性を感じさせてくれる宝となっている。

〜スタンプラリーイベント開催のお知らせ〜
平成27年9月14日(月)〜10月12日(月・祝)
※12日にはレゴやその他の楽しいイベントも併催。

【注】繁盛店づくりを基軸に活性化を図りたい商店街等を対象とした事業で、臨店研修では、店舗にて講師から直接指導を受けられる。
詳しくは↓
http://www.syoutengai-shien.com/support/08.htmlにて
(2015.6月発行)