■「甲南本通商店街振興組合」(東灘区) (NO.88)
 東灘区の商店街で唯一、アーケードを持つ商店街。山側の入口は兜の形になっていて、中央に「甲南」の文字が飾られている。この特徴あるアーケードは六甲山の登山道からも見えるそうだ。
 西山輝之理事長に商店街周辺の最近の様子を伺った。「震災以降、多くのマンションが建ち若い世帯が増加した。朝は子連れのお母さん達が自転車に乗って生鮮食品を買いに来る」。商店街に新しく出店する業種も変化していて「リサイクルショップや、痩身と健康に特化した薬局、若い女性向けの品揃えが豊富な百円均一ショップなど、個性ある店舗が増えた」。
 商店街では様々なイベントを行っているが、一番大規模なのが、七夕とサマーフェスタ。
 七夕前になると地区の青年団が山から大量の笹を切り出し、幼稚園や小学校に届ける。子ども達が願い事を書いた短冊を飾った笹たちは商店街に並べられる。子ども達の担任の先生には、日本の伝統行事である七夕の意味や歴史を生徒たちに教えてから願い事を書かせて欲しいと依頼をしている。また、短冊がなくなって子どもが悲しい思いをしないように、紙やこよりではなく、ビニール加工を施した丈夫なものを使う工夫をしている。経費と手間がかかって大変だが、それは、子ども達の記憶に残る楽しいイベントにしたいという信念があるから。
 サマーフェスタには、地域の中学校の吹奏楽部やボーイスカウトなど、地域の子ども達が出演し、七夕と同様に多くの来街者が商店街を訪れる。
 人が集まり賑わいが生まれる地域密着型の商店街を目指しており、空き店舗や商店街事務所の空きスペースを、高齢者や婦人会、若者などが集まる場として活用する案が検討されている。「そのためには各種補助金を活用していきたいが、書類作成や修正の手間が大きな負担。コンサルタント等による申請サポートや、他都市の情報の提供があるとありがたい」と西山理事長は要望を持っている。
 これから取り組みたいことは、防犯カメラの設置と、アーケードの中にある『KONAN食彩館』(市場)との協働。「商店街と食彩館の役員が、この2月に初めて会議の場を持った。昔馴染みではあるがこれまで正式な話し合いの場を持ったことがなかったので、今後はしっかりと連携していきたい。同じく商店街内南側にある『コープこうべ甲南店』と食彩館、商店街の3団体が協力すれば大きな力を生み出せるはず」と西山理事長は意気込んでいる。
(2014.3月発行)