■ビバタウン板宿(須磨区)(NO.35)

夜を演出する西面LED
 テープカット、くす玉割りに続き、「VIVA!」という陽気なラテン音楽が館内に響き渡る。6月28日、「ビバタウン板宿」は盛大にリニューアルオープンした。
 昭和46年、山麓線の道路拡張に伴う板宿本通商店街分断の危機をきっかけに再開発がスタート。全国初の住民参加方式として注目を集めた。旧ダイエーと27の専門店の努力で、昭和57年7月に「ビバタウン板宿」がオープンする。『バンザイ!』の意味を持つ”ビバ(VIVA)”の愛称は、公募で決定した。
 震災の影響は甚大で、営業再開までに3か月を要したが、耐震補強とバリアフリーを中心とした今回の大規模リニューアルを迎えた。
 エレベーターを2基増設し、スロープも整備。外観は西面の大部分にLEDを用いて虹色の幻想的な夜を演出。
 親しまれてきたロゴマークも一新するなど、並々ならぬ気合いが感じられる。そして、ダイエーと並ぶ核テナントとして、新たにフィットネスクラブがオープン。あっという間に目標会員数にほぼ達するなど、施設全体に好影響を与えている。「従来の高齢者中心の客層から、老若男女幅広くなった」と専門店会の牛尾義英会長は手ごたえを感じている。
 地下鉄、山陽電鉄が合流する交通の要所であり、名谷・西神地区との車両アクセスも非常によく、古くから商都として発展してきた。13団体が加盟する板宿商業連合会として共存共栄を図っている。食の台所としての市場が元気なことも活気を担う一因だ。板宿駅から「いた、やど、いたやどかりかり♪」と大ブレーク中のいたやどかりちゃんテーマソングが流れる本通商店街を抜けるとすぐに、ビバタウンが北の核として存在感を発揮する。
 2つの核テナント、37の魅力とバラエティに富む専門店で構成し、南入り口横には高級宝飾店が近日オープンするなど、地域密着と高級感がバランス良く絡み合う独特の雰囲気を醸し出している。周辺はマンション建設ラッシュで、人口も急増。一風順風満帆に思えるが、「人口増と比例して大型店も商圏内に増えており、競争は激しさを増している」とビル管理組合の野田利幸理事長は危機感を募らせる。
 激変する商環境を乗り切るキーワードは、「安全・安心」だ。「安全・安心にお買い物を楽しんでいただく。商店街で取り付けた防犯カメラにより、ひったくりなどが激変した」(野田理事長)、「高齢のお客様も多いので、落ち着いて安心してお買い物ができる雰囲気づくりが必要。『子ども110番』なども今まで以上に力を入れ、子供も親もビバタウンなら安心するイメージを作る」(牛尾会長)と、見据える方向は非常に明快だ。
 リニューアルオープンにも駆け付けた神戸サンバチームの陽気なリズムがはじける恒例イベントは、オープンから26年間続いている板宿の風物詩。ビル西側に再開発を記念して建立された「カルタゴ」像は実にユニークで一見の価値あり。下町の雰囲気も感じさせながら、滝川高校、育英高校、須磨学園が近接し、若さみなぎる板宿商店街地域。滝川・育英高校は甲子園、そして須磨学園は高校駅伝の名門として全国区の知名度を誇る。ビバタウン入口を彩る巨大ビジョンで地元校を応援すると、強烈な盛り上がりが演出できそうだ。
(2008.8月発行)