■トアロード中央商店街(中央区)(NO.11)

トアロード中央商店街
 JR・阪神元町駅を東へ徒歩数分、JR高架線の北側にトアロード中央商店街がある。道路わきのガーデニングや街灯の趣きは、世界へ向けて開かれた港町として栄え、その歴史に異国文化を取り込んできた神戸のイメージそのものだ。
 かつては外国人移住者たちが営むノスタルジックな理髪店や、洋服の仕立屋などが軒を連ねたというこの界隈も、ところどころにその面影を残しつつ時代の流れと共に変化を続けてきた。10年前の阪神大震災では町並みが変わる程の被害を受け、組合数が震災前と比べ1割減少した。近年では長く営業を続けてきた老舗の店が離れ、テナントとして新しい店が入ることも増えている。ビデオ屋、不動産、病院などその種類は多岐にわたり新しい街並みが広がる。
 交通量の多いトアロードを間に挟んだ商店街は、向かいの商店と言葉を交わしながらの商いという下町商店街の雰囲気とはまた少し異なっている。アーケードのない開放的な雰囲気と恵まれた交通機関から、通りを歩く人の数も多い。それでも店先でお客さんの足を止めることは決して容易ではないという。特に若い世代のお客さんをどう呼び込むかは商店街の大きな課題となっている。「流行を追うだけでは長く続く商店街を作ることは出来ない。時代の流れに半歩だけ近付き、腰を据えた商売をするバランス感覚がポイント。50年、100年先を見て、時代を越え受け入れられる町を目指す。そのためにはトアロード単体としてではなく、その両サイドに位置し若年層のお客さんも多いトアイースト・トアウエストとの繋がりを作り、より広い視野を持って町全体を見つめなければならない」と商店街関係者は語る。
 毎年10月、このトアロードでは「トアロードクラフトアートフェア」が開催される。今年で9回目となる当フェアは生活文化に密着した手作りのテキスタイル、絵画、工芸品などの作品を展示販売し、毎年多くの人で賑わう。こうしたイベントなどに協力していくことで、トアロード全体がひとつになって活気溢れる町づくりを目指すことが期待される。
(2005.7月発行)