■20年目に向けて
(NO.78)
神戸新聞の記事
(注)
によると、1994年から2012年までの間に、神戸市内の商店街・市場の店舗数は13,732店から8,497店に減っています。減少率は38・1%。長田区では56%と半数以上の減少となっています。18年の間に38%ですから、年に約2%ずつ減ったということになります。
注
:2014年1月16日朝刊。グラフは神戸新聞WEBから。
この数字が大きいのかどうかを国の商業統計で調べてみましょう。商店数の統計では法人と個人の区分があるので個人商店数で比較してみると、1991年から2007年の16年間の減少率は全国で44・7%、兵庫県で44・9%、大阪府で46・5%となります。個人と法人を合わせた商店数は、同じ16年間に全国で29・1%、兵庫県で30・1%、大阪府で34・0%の減少です。
同じ統計調査からの数字ではないですし、年度も若干異なります。また、商店街・市場の商店がすべて個人経営でもありませんので単純に比較はできませんが、神戸市の商店数の減少率が特に高い、ということではなさそうです。むしろ、阪神淡路大震災があったにもかかわらず健闘している、と言ってもよさそうです。
1980年代から続いている商店数の減少は、特に地方都市ではいわゆる駅前商店街の衰退という形で現れています。さらに、近年の市街地への大型商業施設の進出は商店数の減少に拍車をかけていることは間違いありません。つまり、1990年代後半から、長く続く不況の元で、高齢化と少子化によるマーケットの縮小を伴いながら、小売競争の激化はますます進んでいるのです。
19年前の大震災があろうとなかろうと、神戸の商店数は減っていたでしょう。と言ってしまうと身も蓋もありませんが、実際に都市の小売機能を果たすのは商店街・市場だけではありません。
市役所展望ロビーより
地域チェーンの食料品スーパーや、市街地でも当たり前になった大型商業施設も今や地域を支える小売商業なのです。だからといって、まちの小さな商店が減り続けるのを由とするわけではないのですが、それよりも大事なのは、あの厄災の後で必死に立ち直ろうと努力をしてきた商店と、単に商売だけでなくまちのために何ができるかを問い続けている商業者たちがたくさんいることをあの大震災が図らずも教えてくれた、ということだと思うのです。災難を生き抜くことで人もまちも強くなっていくのですね。
あれから丸19年。いろんな思いがあって、うまく言葉にできません。震災直後にはあった復興への熱意も数年後には薄れてしまい、しばらくはウジウジとしながら日常生活に戻ってしまった自分の姿さえ最近は忘れていました。やっぱり19年は長いです。そんな時に起こった東北の大震災。いっぺんに目が覚めました。また、動き出すことができました。でも、3月で丸3年。そろそろアドレナリンも切れかけてきました。20年目に向けて、東北のこれからに思いを寄せながら、神戸と東北で何ができるかをじっくりと考えたいです。
(2014.2月発行)