■やっぺ石巻、やっぺし釜石  (NO.46)

新しくできた青葉通り
 連休中に、神戸復興塾(注1)のメンバーで宮城県石巻と岩手県釜石へ行ってきました。石巻では、地元NPO、商工会議所の会頭さんと専務理事、漁業関係者、元県会議員さん、石巻専修大学の先生などにお会いして、いろいろと現地の状況や問題・課題なんかを聞き取りし、神戸での経験を伝えるべく提言書をその日の夜に作成して、翌日には石巻市長と面談して提言書を渡すことができました。
 提言書では、「ひとり一人を大切にした復興をめざして」というタイトルを付けて、とくに緊急の課題である住宅再建を中心に、これからできる仮設住宅の入居前にやれることについて具体的な提案を書きました。神戸では、兵庫県の依頼を受けて、復興住宅に入る前に入居者交流会を実施したのですが、これを仮設入居前にやっておけばという反省があったのです。市長さんもこの住民の交流会は必要ですね、と言われたので、実現することを期待しています。
 商工会議所でのミーティングには、前回の訪問時に偶然会うことができた、街づくり会社「まんぼう」の西條さんも同席されていて、商店街の再建・復興について意見交換ができました。復旧・復興ではなくて、新しい形の商店街をつくるために、何かお手伝いができればいいのですが。

餅つき
 釜石では、「まずやっぺし、釜石」というイベントのお手伝いでした。「やっぺし」というのは「やるぞ」という岩手の言葉です。5月4日・5日のこのイベントは、釜石の中心市街地商店街につながる青葉通りで行われました。言い出しっぺは、地元の人ではなく、青葉通りの再整備事業の設計を手がけた東京の大手建築設計会社の設計士Mさんなのです。
 何度もワークショップをして、地元の意見を聞きながら2010年4月に完成した、街路樹・水のせせらぎ・イベント用のテント、そしてスロープ付きのトイレなどが整備された総延長310mの新しい青葉通りが、一年も経たないうちに壊滅してしまったのを見て、Mさんは落胆し、そして奮い立ったのです。釜石の復興の第一歩となるように、瓦礫がほぼ撤去された青葉通りでイベントをしようと。
 Mさんのネットワークで集まった被災地外のメンバーによる準備から本番まで手作りのイベントでした。当日は、自分のところが大変なのに地元の人もボランティアに来てくれました。餅つき、甘酒、お絵かきなど、規模は小さいイベントでしたが、近所の人たちがたくさん集まって、とくに子供達が楽しんでくれました。
 神戸からも若手のシンガー作人くん(注2)とジャグラー大地くんが駆けつけて、大いに盛り上げてくれました。阪神淡路大震災の被災者でもある作人くんの歌に、涙する姿もありました。今回のイベントの成功に、Mさんは「これからも、どんどんやっぺし!」とその意気込みを新にされていました。
 まだまだ先の長い被災地の復興ですが、私たちもできることを一生懸命やりたいものです。

(今回入手した宮城の地酒を6月11日(土)に尼崎三和市場で行う「東北復興支援バー」というイベントで呑んでもらいます。皆様もぜひお越しください。)
注1:阪神・淡路大震災の一年後に、被災地の自立復興支援のために集まった神戸の専門家集団。 http://www.kobe-machiken.org/
注2:作人くんのプログ読んでみてください。http://sakuto1984.blogspot.com/
(2011.6月発行)