■若宮商店街(須磨区)
(NO.31)
新駅歓迎チャリティイベント
2008年3月15日、シドニーのオペラハウスを髣髴とさせるJRの新駅「須磨海浜公園駅」が開業した。駅から須磨水族園に向けてまっすぐ南へ伸びる道路は、歩道部分をブルーのカラー舗装が施され、新駅の便利さを実感しつつも、慣れない戸惑いを抱きながら、多くの人が歩いている。その道路の一区画東に、若宮商店街の200mにわたるメインロードがある。万国旗がお祭りムードをかきたてる。
若宮商店街は昭和4年に結成された老舗商店街。神戸屈指の観光スポットである須磨水族園、須磨海浜公園、須磨海水浴場、又、国民宿舎須磨荘にも近く、須磨社会保険事務所、新須磨病院などが商店街にあり、区役所や警察署などの公共機関も徒歩圏内という、都市機能が集積されたコンパクトさが魅力だ。須磨は歴史の宝庫でもあり、「近くの若宮神社を活かし、モニュメントや石碑を整備し、観光客の通り道になってほしい」と若宮商友会の櫻井諒一会長は話す。
平成7年の大震災で若宮商店街は壊滅的な被害を被った。店舗数の減少など厳しい状態が続いたが、現在は43店舗で積極的に活動している。例年、夏はチャリティイベント、冬は歳末セールを開催。若手組合員を中心に企画部を作り、イベントなど積極的に展開している。
新駅開業を記念としては、3月15日から5日間、スピードくじキャッシュバックや豪華景品が当たるガラガラ抽選会を実施。3月23日は「青空元気フェスティバル」を開催。ちんどんパレードやライブステージ、先着500名に紅白餅プレゼントなど、盛りだくさんの内容で大いに賑わった。
従来はバスが主な移動手段であった若宮地区。新駅開業効果は商環境、住環境ともに一変させるパワーがある。周辺を含め、高層マンションの建設もさかんで、オーシャンビューが一望できる上に、交通の利便性が飛躍的に向上したことで、ますます居住地として人気を集めそうだ。駅北にはイオンが4月に開業し、「飲食店中心で、生鮮食品が少ない」(櫻井会長)という地域全体で利便性が向上することが期待される。「もっと店舗を増やして、商店街で日常品を扱う店を増やしたい」と櫻井会長は意気込む。
安全、安心な商店街づくりに、夜道の安全を提供する街路灯の整備は欠かせない。一昨年の街路灯修繕の際、一時的に街路灯が消灯したため、近隣住民から早期の復灯を求められるなど、地域の核として機能を果たしてきた。今後、防犯カメラやAEDの設置も検討している。
住宅地のようで、商業地。商店街の南には、水族園と海岸、そして海。外国のようで、下町。子ども達が元気一杯に走り回っている。燦燦と降り注ぐ陽光がまぶしく、潮風が心地いい。ちょっとした小旅行気分、これも、若宮の魅力かもしれない。
(2008.4月発行)