佐々木 歌織(神戸マリン綜合法律事務所)(NO.18)

佐々木歌織さん
 昨年10月から弁護士4名が応援隊員に加入した。その中の一人の佐々木さんが、六間道商店街3丁目友和会のトラブル解決サポートで活躍している。
■トラブル発生の経緯
 2017年10月の甚大な台風の被害によってアーケードが破損したため撤去を決定。電線や電話回線等も移設する必要が生じた。各業者への連絡窓口となって、同商店街の岸秀一会長を助けてくれたのがまちづくり会社「株式会社神戸ながたTMO」の五十嵐さん。全業者を集めて月に2回の会議を始めた。
 そこで各業者が提示してきた撤去費用(商店街負担分)が予想以上に高額であったため、法的観点から話し合いを進めていこうという目的で応援隊の佐々木さんが派遣された。
■解決までの流れ
 まず佐々木さんは岸会長にアーケード設置時の契約書の有無を確認するよう助言した。そして、契約書を交わしていた業者とは、記載の取り決め通りの割合で商店街が撤去費用の一部を負担することを双方に確認。また、契約書のない件については、商店街の負担義務は無いということを業者と確認した。当初は合計数百万円の支払いを強いられていたものの、大幅に減額することができた。
 各会議には佐々木さんが同席して会議を見守った。
■解決後のアドバイス
 今回の撤去工事においても新たに契約書を交わすように伝えた。追加工事等が発生する場合があるからだ。佐々木さんは先々に起こり得る様々な出来事を想定して適切な助言を行っている。
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 岸会長は「自店の営業を続けながら複数の業者と大きな交渉を進めるのは非常に負担がかかる。想定外に時間がかかったが、TMO、神戸市担当者、応援隊のサポートがあって実現できた」と苦労を振り返る。法の知識と交渉のノウハウに長けた専門家である佐々木さんが会議に同席したことで、商店街の負担を一方的に迫る業者への抑止力となり、建設的な交渉を進めることができた。
 「組織間のトラブル解決は、もつれた糸をほぐすような作業。もつれは早いうちだと解決しやすい。些細なことでも大丈夫なので早めにご相談いただくことが早期解決のポイント」と佐々木さん。
 数年かけて交渉を進めてきた撤去工事がやっとこの1月から開始した。数年来の課題解決して心機一転。青空の下で六間道商店街3丁目友和会の新しい活性化の取り組みがまる。
■トラブル回避のためのポイント
・組織間の決定は書面(契約書)を交わすこと
・決定事項(契約、規約、引き継ぎ事項等)は理事長(会長)の頭の中で記憶するだけでは×。客観視できる方法で保存して後継者に引き継ぎしよう。
(2019.3月発行)