■高校生と商店街  (NO.79)
 2月8日に26回目となる「商業高校生徒研究発表会」[注1]が開催されました。これは、兵庫県下の商業系高校の生徒による「課題研究」や「総合実践」という科目における調査研究のプレゼンテーション大会です。私は4回目の審査員として参加しました。審査員5名がテーマの着眼点や取り組み・成果などの8項目について審査し、ベスト3を決めます。最優秀校は近畿大会に進んで、そこで上位に入れば全国大会[注2]へ行けます。
 参加校は昨年から増えていて、今年は14校18チームでした。それぞれの研究テーマは、商品開発が3校、商店街活性化が3校、地域連携が3校、その他3校で、今回初めて震災・防災関連の研究が3校ありました。いずれのチームの研究もなかなかのもので、特に小野高校(商業科と国際経済科)や県立神戸商業校や市立兵庫商業校といった常連校のレベルは相当高くて毎回驚かさせられます。今回初参加した生徒たちもそのレベルの高さにびっくりしているはずです。
 今回は、というか昨年の受賞に続いて今回も最優秀校は小野高校商業科で、テーマは神鉄小野駅前商店街の活性化でした。2位は、垂水廉売市場で「Shop KENSHO 県商生活」[注3]を運営してる県立神戸商業高が受賞しました。常連校強し!というところでしょうか。先輩のやってきたことを後輩たちが引き継いで堂々とした戦いぶりです。なんて、なんだか甲子園のようですね。
 この常連校で常勝校を追っかけて3位になったのが、唯一の私学である星城高校です。星城高校は長田区の腕塚町にあった神戸女子商業高等学校があの阪神淡路大震災で全焼し、須磨区へ移転してできた高校(1999年から共学)です。跡地には再開発ビル「アスタくにづか2番館」ができ、ビルには「熊見学園発祥の地」のプレートが掲げられています。
 そんな星城高校の生徒たちが選んだテーマはずばり「大正筋商店街の活性化」です。昨年度は商店街の賑わいづくりのための「のぼり・タペストリー」制作で、今回はWEBを使った「大正筋バーチャル商店街の作成」で堂々の3位になったのです。
 今時の高校生ですから、商店街を利用したことなんてほとんどないはずです。そんな生徒たちがかつての地元の商店街に愛着を持ち続け、毎年着実に成果を上げています。生徒たちも一生懸命ですが、それ以上に熱心に指導されている担当の先生方に頭が下がります。最後の審査員のコメントで星城高校の躍進について触れたことを喜んでいただいたのも、審査員冥利に尽きるというものです。
 えっ?私学に勤めているから私学の高校に甘いんとちゃう?なんてことはありませんです。ただ、審査員にも好き好きというか、ツボというか、それが審査員によって違うということは事実です。私はやっぱり商店街やまちの活性化というテーマが好きです。
 残念なのは、この研究発表大会が26回も続いているのに、あんまり注目されていないことです。保護者や関係者の出席がもっとあっていいし、そして何よりマスコミがもっと取り上げていい題材だと思うのです。来年もありますので、地道な努力をしている高校と生徒たちに、みなさん、注目していてくださいね。

注1 :主催は兵庫県高等学校商業教育協会で、協会加盟高校が出場できる。後援は兵庫県教育委員
    会、神戸市教育委員会と神戸新聞社。最優秀校には神戸新聞社賞も同時に贈られる。
注2 :主催は全国商業高等学校長協会と公益財団法人全国商業高等学校協会。
注3 :2004年から始まった空店舗を利用したいわゆるチャレンジショップで、オリジナル商品の開発も行っている。
(2014.3月発行)