■地下街は楽し  (NO.67)
 この2月で「さんちか」が50周年を迎えました。正確に言うと、さんちかを運営する神戸市の第3セクター「神戸地下街株式会社」の設立50周年です。さんちかそのものは1965年10月に県内初の地下街として交通センタービルとともに開業されています。神戸新聞の記事によると初日だけで60万人が訪れたそうです。現在では9つのブロックに約120店舗が並んでいますが、お客に飽きさせないように何度も改装を重ね、2006年には40周年リニューアルがおこなわれました。
 私自身のさんちかの思い出は、今はなくなりましたが、そごう地下の東側にあった食堂街のカレー専門店「ヒマラヤ」のスペシャルカレー(ドライカレーの上にエビフライが2つ乗っている。250円)です。いつもは150円のカレーなのですが、ちょっとお金に余裕のある時だけに許された10代半ばの贅沢でした。食後に出るデミコーヒーもおいしかったです。
 食べる以外ではそれほど利用しません(できません)でしたが、お洒落で高価なものが置いてある、というイメージを持っていました。父の知人でお洒落好きな人が、「さんちかのバーゲンはええで。いいものが安く買える」と言っていたのを覚えています。その人はまめにさんちかに足を運んでいて、バーゲン用商品ではない普段並んでる商品をよく観察していたとのこと。バーゲン用商品なんていうのがあるのを初めて知ったのもその時です。
 最近でも、よく利用するのは「味ののれん街」。軽く一杯やるのにいいお店が並んでいます。さんプラザ地下にもある「酒房灘」などは昼間からランチする人、一杯やる人で混んでます。年齢層も高めで、「高齢者の社交場」になっています。あ、もちろん私もその一員ですが
 さて、地下街といえば何といっても大阪梅田です。今でこそさほど迷うことなく歩き回れますが、そうなるまでに何年かかったでしょうか。大阪人になるつもりは全くありませんが、「梅田の地下街を歩けるようになったらホンマモンの大阪人や」なんてよく冗談で言ってました。東京だと、地下鉄を乗りこなせるようになれば東京人、みたいなことですね。今でも大阪に住みたくないと思うのは、地下街で迷ったという経験からかもしれません。
 北は茶屋町から南は堂島まで続くこの地下街は、東西にも広がっていて、東西南北それぞれ約1kmという規模です。ただし、阪急三番街や大阪駅ビルなどのビルの地下階とホワイティうめだ・ディアモール大阪・ドージマ地下センターなどの正しい意味での地下街が一体となっているので、この長さになるわけです。店舗数は1000を軽く超えています。阪神百貨店や阪急百貨店の地下フロアーも地下街に直結していますから、デパ地下というより地下街のワンブロックと言ったほうが分かりやすいでしょう。阪神のデパ地下の売り上げが梅田店の売り上げの半分近くを占めるのも宜(むべ)なるかな、です。
 こんな地下街と比べるとさんちかは単なる地下通行路に思えますが、そこは神戸と梅田のまちの違いが如実に表れています。いいお店がギュッと凝縮されたまちといろんなタイプのお店がモザイク状に広がるまち。どちらがいいか悪いかという話ではありません。神戸らしいさんちかにこれからも期待しています。

注1:地下街とは道路・駅前広場・都市公園などの公共用地の地下に店舗・通路があるものを指します。
 Wikipediaより。
(2013.3月発行)