■名物に旨いものアリ  (NO.38)
 静岡に行ってきました。大学の主催する地方教育懇談会(注1)なるものが静岡市であったのです。静岡と言えば、みなさんは何を思い浮かべるでしょう。貧弱な私のイメージではお茶、富士山、わさび漬けでした。ネットで調べると、浜名湖、うなぎ(うなぎパイ)、サッカー王国、伊豆、東海地震なんていうのも出てきます。もうちょっと物知りなら、富士宮やきそば、ちびまる子ちゃんというのもあります。今回静岡市は2回目の訪問になるのですが、観光ガイドなどを読んでみると、静岡という所は山と海に恵まれた豊かな土地で、おいしい特産物も数多いということが分かります。で、今回はその一端を体験してきました。
 2年ほど前に、東京は下北沢の蕎麦屋でわさび漬けが乗ったとってもおいしい「板わさ」を食してから、わさび漬けに目覚めた私は今回の静岡行きが楽しみでした。(正直に言うと、それを目的に今回の静岡行きに手を挙げたのです。)何度か近所の食品スーパーで求めましたが、なんだかもの足りませんでした。東京の蕎麦屋のわさび漬けが静岡のものだったかどうかは分かりませんが、わさび漬けと言えば静岡というのが私の中でできあがっていたのです。買って帰ったわさび漬けはやっぱりおいしかったです。
 わさびは山の幸ですが、静岡は沼津、焼津、清水といった漁港も有名です。まぐろ、鰹、鯖、夏のしらすや桜海老など海の幸も豊かです。で、おいしい魚を求めて焼津に寄ってきました。お昼を大分過ぎて到着したので、駅前の観光案内所に行って、開いているお寿司屋さんを教えてもらいました。大きな観光マップを広げて説明してくれる焼津の法被を着た案内人さん。すばらしく親切です。電話で開いているのを確認し、見送りまでしてくれました。地元愛が溢れていました。観光案内所はこうでなくっちゃ。
 まぐろも鰹もしらすも絶品でした。それをあてに飲むのはもちろん地酒です。新酒と純米酒をいただきました。旨いのは言うまでもありません。実は、静岡は酒所でもあるのです。あの洞爺湖サミットで出された「磯自慢」の大吟醸酒は静岡のお酒で、しかも焼津の蔵なのです。水も美味しく、県の工業技術研究所によって開発された「静岡酵母」を使う静岡酒は地酒ファンにとっては、サミットのずっと前から、それこそ静かなブームだったのです。もちろん磯自慢の蔵へ行ってきました。直売所で地元でしか売られていない吟醸酒を手に入れてきました。
 そうです。もう賢明な読者はお気づきでしょう。焼津こそが今回の静岡行きの一番の目的地だったのです。魚と地酒。日本人でよかった、と思うひとときです。仕事にかこつけて気楽なことしとんなー、と言われそうですが、まちを見て、商店街を歩いて、地元の酒と食材を食らうのが私の専門、ということにしておいてください。

注1:関西大学には教育後援会といういわばPTA組織があって、夏休み期間に地方都市出身の学生の父母・保護者を対象にした説明会と学部別の個別面談を全国20都市で開催しているのです。こんな大学は全国でも珍しいです。ちょっと宣伝させてもらいました。私は今年、福岡と静岡と岡山に巡業してきました。
(2010.10月発行)