■新しい空き店舗対策支援事業  (NO.20)
 今年度から神戸市の新しい空き店舗対策の支援事業ができました。その名も「戦略的空き店舗活用支援事業」です。従来の空き店舗対策事業は単なる家賃補助でしたが、それだと商店街の望むような業種が入ってくるとは限らないし、店舗によれば商店街が進みたい方向と齟齬が生まれる可能性もあります。つまり、単に空き店舗を埋めればいいのではなく、その商店街にとって必要なお店に入ってもらうための、いわば「テナント・ミクス」が可能になるような仕組みがないと本来の意味での空き店舗対策事業にはならないのです。
 今回のこの戦略的支援事業は、まず、その商店街が進むべき方向を探ることから始めます。専門家による市場調査や診断を受けて商店街の特徴を把握し、進むべきコンセプトを決め、欲しい店舗を考えるわけです。できれば店舗の誘致まで行えるような専門家と手を組めば言うことはありませんが、調査・診断・コンセプト決定まで進めば十分でしょう。これら一連の流れを補助事業として支援しようというのです。補助率は2分の1で、補助限度額は150万円です。
 単純に計算すれば、300万円の事業を組んで半分を補助してもらうことになりますが、この規模でもコストが掛かりすぎる商店街も多いでしょうから、そこは県や産業振興財団の補助金を組み合わせて、負担する事業費を抑えることも可能になっています。さらに、この事業で空き店舗が決まれば、その後は5年もの間家賃補助をしてもらえる新たな支援策もできました。
 どうです、なかなか魅力的な事業でしょ。すでに、興味を示している商店街がいくつかあると聞いています。商業支援の年間総額は決まっていますので、ある意味では早い者勝ちになります。予算を超えるぐらいの応募があれば、それはそれで大変いいことなので、補正予算を組んでもらうことだって不可能ではありません。
 空き店舗が増えてきて、どういう風に対策を練ったらいいのか悩んでいる商店街はぜひ相談に行ってみてください。窓口は市の産業振興局の商業課(078-322-5336)です。この支援事業は、すでに目指す方向やコンセプトを決まっている商店街ももちろん使えます。
 この新しい支援事業は、市内の商業者、学識経験者、商工会議所、庁内関係部局などのメンバーからなる「空き店舗対策検討委員会」で議論され、提案されたものが基になっています。現場からの声を聞きながら、よりよい制度や支援策を考えようというこうした会議の結果が実を結んだのは、本当に喜ばしい限りです。商業者からは行政や学識経験者に対してなかなか厳しい意見もありました。それでも、現状をなんとかしたいという気持ちはみんなおんなじなのです。もちろん、まだまだ不十分な点はたくさんありますが、新しくできた支援事業を積極的に活用していくことで、さらなる改善や整備が可能になってくるので、多くの商店街がこの制度をどんどんと利用されることを切に願うものです。
(2009.4月発行)