■青森市のコンパクトシティ構想  (NO.2)

公的施設を備える再開発ビル「AUGA」
 改正された中心市街地活性化法で認定された基本計画の第1号は青森市と富山市でした。旧の活性化法では補助金を例のごとくバラまいたので、その反省から「選択と集中」を目指して改正されました。本当に実行できる事業だけを基本計画に盛り込んで、国から認定を受けて5年間でその成果を問うという風になりました。成果が出ない場合は、補助金の返還もあり得るということです。
 昨年の八月に青森・盛岡・古川・川越から東京を経由して富山という2泊3日の結構ハードな視察旅行に行きました。その時の感想も含めて青森と富山の状況を見てみましょう。
 青森市の場合は、国が早くから提唱していた都市再生モデルのひとつである「コンパクトシティ」を目指しています。JR青森駅の駅前(ほんとにすぐ前です)に高層のマンションを建て、そこに市内の高齢者に住んでもらい、駅前商店街やこれまた駅の近くに建てた図書館や他の公的機関とショッピングゾーンを備えた駅前再開発複合ビル(AUGAアウガ)で買い物や娯楽をしてもらおうというのがそのコンセプトになっています。つまり、中心市街地で「歩いて暮らせる」まちを作ろうというわけです。そのためには、駅前商店街も元気になってもらわないといけないので、パティオ事業など商店街の活性化事業も予定されています。すでに高層マンションもAUGAもできていて、高齢者の「住み替え支援」のためのさまざまなソフト事業を展開することになっています。

高齢者の住み替えが進む駅前マンション
 訪れたのが夏だったということもあり、AUGAの図書館ではたくさんの高校生や受験生らしき人が勉強していましたし、地階にある海鮮を中心とした生鮮市場やレストランも賑わっていました。青森と言えばねぶたで有名ですが、この地階は観光客も喜んで来そうなスポットになりそうです。
 改正法と旧法のもうひとつの大きな違いは、旧法では商店街の活性化が中心だったのですが、今回はそれ以外に都市福利施設の整備とまちなか居住の推進ということが盛り込まれています。AUGAはその都市福利施設の典型です。公的な施設と民間の施設がひとつの建物を共有し、都市の福利機能と経済機能をそこで担い、さらに高齢者の住み替えを支援することによって、中心市街地に住民を呼び戻そうというわけです。住民が戻ってくれば賑わいも生まれるし、その賑わいで商店街も潤う道が開けるだろう。これこそが今回の改正法の1番の狙いなのです。狙い通りに行くかどうかは今後の問題ですが、目指そうとしている方向はよく理解できます。
(2007.10月発行)