■六間道商店街(長田区)(NO.32)

六間道4丁目(s30年)
 「駒ヶ林駅でたとこすぐ」。地下鉄海岸線駒ヶ林駅の改札を上がると、年配の神戸市民ならほとんどの方が訪れたことがある六間道商店街が広がっている。JR新長田駅からは南へ約600m、虹のアーチが目印だ。
 明治時代より近傍の兵庫重工業の躍進とともに、西神戸の中心商店街として発展。昭和30年には本格的なアーケードが設置され、絶頂期を迎えた。平和劇場、昭和館、繁栄座と3軒の映画館が林立し、二重三重の立ち見が出るほどの人気を博した。「六間道」の名前が示すとおり、幅10mを優に超える道幅を、肩をぶつけなければ歩けない状態が長く続いてきた。
 震災の被害から比較的早期に営業を再開、傷ついた被災者の生活を支えてきた。だが、長田区全体として人口の流出が進み、JR新長田駅周辺など一部の地区は回復しているものの、全体として落ち込んでいる。「空き店舗の増加、組合員数の減少など大きな課題を抱えている」と危機感を募らせるのは、同商店街三丁目友和会の伊藤彰会長。震災後の空地に月極駐車場が乱立するなど、商店街の悩みは深い。
 震災から5年。21世紀を迎えた六間道は、神戸屈指の名門商店街でありながら、ユニークな活性化策を本当に数多く実践してきた。
 毎月最終日曜日は、すっかり恒例となっているフリーマーケットを開催。六間道イベントの大きな柱で、回数は50回を優に越える。
 様々な商店街、地域と連携を図りながら活性化を進めていることも、六間道の大きな特徴だ。 「門前町商店街」事業では、”おばあちゃんの原宿”と名高い巣鴨地蔵通り商店街とおかげまいりの街づくりネットを形成。『地蔵堂』を昨年8月に整備し、すでに地元の信仰を集めている。8月の地蔵盆では、長蛇の列が途切れることがなかった。長田神社の協力により、芽草を編んで作った大きな輪をくぐって無病息災を祈念する『芽の輪くぐり』も好評だ。

定着した六間道”地蔵盆”
 有馬温泉街との連携にも力を注ぐ。神戸商工会議所「長田ブランド」にも認定された六間オリジナル『どこでも足湯』は、なんと有馬の源泉を楽しむことができる労作。夏の盆踊りには、有馬芸妓衆を招き大盛況を博した。
 ボクシング世界王者・長谷川穂積選手が太平洋王者時代に六間道イベントに参加した縁で、世界王座についたとき凱旋パレードも実施。また、大ヒット映画「クローズ」のロケ地として、小栗旬さんらが熱演したことでも注目を集めた。
 そして、昨年の夏に「三国志ねぶたパレード」を開催。宵闇の商店街を幻想的に彩るねぶたは大反響を得た。「神戸鉄人プロジェクトを盛り上げ、三国志ミュージアムの設立を実現させたい」と、同商店街振興組合の嶋崎裕三理事長は力を込める。
 伝統、栄光に胡坐をかかず、休むことなく他より5歩先を進み続ける。この継続が、今後100年、六間道が繁栄しつづける礎となるに違いない。
(2008.5月発行)