■春日野道商店街(中央区)(NO.9)

商店街北入口
 ミナト神戸の繁華街「三宮」の東側に位置する春日野道商店街は、北に阪急春日野道駅、南に阪神春日野道駅という交通機関に恵まれている。阪急春日野道駅下車すぐのところに、商店街北入口があり、モノクロに林立する建物の間から鮮やかな水色のアーチが浮き上がってみえる。空と海を背景に描かれているカモメは、虹を渡り、夢を持って未来へ羽ばたくまちをイメージしている。
 商店街は、海へと向かう真直ぐな道。連なる日用品や衣料品、特に食料品の店鋪の多さに圧倒されながらも、約350mのゆるやかな下り坂に足取りも軽く、開放感に満たされる。今年完成したばかりのアーケードから差し込む光もやわらかい。所々に商店主とお客の掛け合いが見られ、阪神高速を挟んですぐ南側の高層マンションや公共文化施設といった都市的な側面を持つ地域にありながら、まさに庶民的な雰囲気に染めあげられた一角である。半径500m以内の住民を主流に、HAT神戸の住民や勤務する職員らもこの商店街を利用している。
 買物客が激減した震災後2・3年頃から、活性化を目的に毎月開催されていたフリーマーケットは定着したものの、インパクトが弱まりマンネリ化している。本年は様子を伺い反省点を踏まえ、今後の準備期間とする考えだ。年中行事としては、5月の神戸まつりに、ステージを組みカラオケ大会や太鼓の演奏、手品が披露されるなど、商店街ならではの催し物が出される。10月には、筒井八幡神社の秋祭に併せて商店街挙げての『秋華祭 (しゅうかさい)』が行われる。商店主や地域住民がかつぐ大人みこしが商店街の中にある駐在所に立ち寄り、祭を一層盛り上げる。

五郎太の木の石像
 「商品を提供するだけでなく、商店街という組織があるからこそできる役割を果たしていきたい。行事や祭事において、地域のために貢献する。商店街は地域の世話役であり、引き立て役。広い意味で生活を支える核でありたい。」と語る関係者の考えを裏付けるように、あらゆる企画・行事が地域密着型である。
 その代表的な企画のひとつとして、葺合市場商店街連絡協議会による『葺合ランドマーク事業』が挙げられる。それぞれの地名や史跡等にちなんだ創作民話を制作し、地域全体を『民話の里』として活性化させ、生活者を中心にしたソフト面でのまちづくりを推進するため葺合地域で展開されている。同商店街では、親孝行息子の五郎太を主人公にした「五郎太の木」をシンボルとしたまちづくり活動を進めている。民話の登場人物をモチーフにしたそれぞれの石像がたてられたほか、クイズラリーや紙芝居上演など、この事業の一環として様々な催しが行われ、地域全体を活気付けている。
(2005.5月発行)