■元町六丁目商店街(振)「STUDIO KIICHI」 (NO.2)
 KOBE商店街・市場自慢の逸品展で飲食以外で唯一出品していたのが、革小物・鞄を中心に企画から販売までを行っている「STUDIO KIICHI(スタジオキイチ)」
 店舗は元町6丁目商店街の西入口から間もなくのところに位置する。店舗面積は1階13坪前後といったところ。店内にはミシンや、裁断機、刻印器などが並ぶ。
 店内にはユニセックスタイプの「キーケース」や「ウォレット」他多数の商品が所狭しと置かれていた。
 商品は原皮の調達から、なめし・染色・使用する付属品そして最後の縫製も海外に任せず自社で行っている。文字通り「ALLMADEINJAPAN」の製品である。
 元町で育った同店の代表の片山喜市郎氏。当初は会社に就職したが「ものづくりに興味があったこと」「父が靴の店を開いていたこと」「空き店舗があること」「商店街の活性化」等から自分でお店をやってみようと決意し、革職人のもとで修行、独立を果たした。
 商売をはじめてみて「思った以上に革商品の興味を持っている人が多いことに気付いた」と片山代表。
 販売先の開拓については「IFF(インターナショナルファッションフェアー)」に出展したことで関東のセレクトショップなどとのつながりができたことが大きかった」と語る。現在は京都・神戸の「LOFT(ロフト)」さん等含め取引も順調に増えて来ているようだ。 「ALLMADEINJAPAN」にこだわる理由をお聞きすると「現在のように大量生産の時代になってしまった今、地域に根差した伝統や特長、手作りのぬくもりみたいなものが忘れられがちになってきています。私はこのことを大事にしながら、かつ使いやすさの追求と共に現代のニーズを取り入れた商品を作り続けたいと思っています。底辺にあるのは愛国心というか郷土愛みたいなものですかね」と笑って話す。
 今後はメンズの商品の製品拡大に取り組むと同時に、インターネットを使ったフラットな販売方法などにも力を入れてゆくようだ。
 又商店街としての悩みはやはり点在する空き店舗対策。空き店舗があることで商店街全体の回遊性がダウンする。その対策の一つとして元町6丁目商店街単独で『神戸クラフツ・アーケード』を2012年2月11日・12日に実施する。少しでも来街者が増え元町商店街の楽しさを知ってもらうことが目的だ。空き店舗については話があっても「地権者と出店者のマッチングがうまくいっていないのが現状」と片山代表は話す。
 今後は「商店主の高齢化も進みさらに空き店舗の増加につながりかねない。まず各商店街の若手、二代目候補などの情報交換の場があればうれしいと話す」。
 今や空き店舗の増加、商店の後継者不在が大きな問題となってきている。今後は商店街と出店希望者・起業志望者などとの話し合いの場を設けると同時に今回の片山代表の様な起業家の育成事業にも力を入れてゆかねばならない時代になったと考える。
(2011年12月発行)