神戸一生さん(都市商業研究所)  濱田恵三さん(ジア・デザイン神戸)(NO.14)

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今回は、6月10日に発刊された「地域創生の戦略と実践」濱田恵三・伊藤浩平・神戸一生編著 晃洋書房 について、応援隊員として活躍しているお二人によろず相談員最上が率直に聞いたお話を掲載します。
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応援隊員
神戸一生さん(左)、濱田恵三さん(右)
〈今、地域に着目するということ〉
最上:本の中で、地域創生とは、衰退する地域の活力と魅力づくりへ向けた持続的なまちづくりと書かれている。そのために必要なことは?
濱田:それぞれの地域には独自の文化や特性があるので、他地区の成功事例をそのまま真似てもうまくいかない。地域に最適な活性化策を見つけて、合うようにアレンジが必要。例えば、関西で初めてバルイベントを開催して成功した伊丹市は、清酒のまちという歴史があるから、食べ飲み歩きのバルイベントとの相性が良かった。
神戸:その地域固有の課題を解決できる戦略を立てないといけない。
最上:「地域」を「商店街」と置き換えてもあてはまるのでは?
濱田:もちろん共通項はたくさんある。長瀬光市氏が「ローカル・オプティマム戦略」と言っているが、それは「地域ごとの最適化状態を創出すること」である。
その方法は、
(1)商店街を含むその地域の一番良い状態を思い描く
(2)そこに近づくためのオリジナリティーある戦略を検討するということだ。
〈商店街を利用する定住人口と交流人口〉
濱田:地域住民(定住人口)向けだけの商売をしていては成り立たない。その地域を訪れる人々(交流人口)と、頻繁にこのまちに来て関わりを持つ人(関係人口、「風の人」とも言われる)を増やそう。海外からのインバウンド対策も、定住者を増やす取り組みも難しい。そんな現状でも、関係人口拡大には可能性が見いだせる。新開地は、まちのファンづくりに取り組んだ結果、たくさんのボランティア(=関係人口)をつくることに成功した。地域の人と商業者が力を合わせて活性化策に取り組むことも大事なポイント。昔と違って商業者は高齢化しているし、青年部も少なくなっている。いかに地域住民をまきこむか。伊丹はまちの主婦の声掛けで地元住民が動いた。それに行政のサポートが加わって成果が得られた。
神戸:水道筋商店街は新・観光まちづくりに取り組んでいる。まちと店の魅力を再発掘し、磨き、商品化しながら発信している。ポイントは「脱商店街」。単組の個店だけではなく、文化施設や福祉施設等も含めてまち全体の運営体化が必要になる。
〈神戸の商店街にとって必要なことは?〉
濱田:大阪駅前周辺の再開発戦略が成功して、かつて神戸で買い物をしていた層が大阪に流れている。我々は、地域の人とともに地域(商店街)の個性を磨き、魅力的なまちであることを発信する。多様な個性が神戸のまち全体の魅力となる。全体のパワーで大阪駅前の商業地域の集客力に打ち勝ちたい。
最上:商店街がイベントを開催する意味を今一度お願いします。
神戸:『情報発信』や『ファンづくりをする』場と考える。イベント当日の売上はあえて意識しない。そのかわりに各メディアへのアピールやSNSでの発信は必須。イベントを開催する際、各商店街のリーダーたちはそれを参加者全員にしっかり伝えなくてはいけないと思う。
最上:応援隊としての今後の活動の抱負をお願いします。
神戸:商店街が今後も生き残るためのしくみづくりの手伝いをしていきたい。
濱田:皆さんと一緒になって知恵と汗を流したい!
最上:本日はありがとうございました。
(2018.7月発行)